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台湾アップデートセミナー第5回 海外進出の第一歩、台湾展示会+外国語ウェブ徹底活用 (講義録)
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このレポートは、2022年3月にオンラインセミナーで講演した内容を文章にしたものです。

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今回は海外進出の第一歩の取組としてよく挙がる展示会出展や外国語ウェブサイトの使い方について皆さんと考えていきたいと思います。

 

 

 

ウェブサイトを作って終わりではない


図は、ウェブサイトが存在するだけでなく、それをめぐって色々な流れを作って、初めてウェブサイトが有効になるということを示しています。複雑な図になってしまいましたが、まずは以下の点に気を付けていただければと思います。


まずは赤矢印の情報発信です。まず発信しないと反応もありません。また情報発信は継続して行わなくてはいけません。つまりウェブ制作では制作だけに予算をかけるだけでなく、その後も継続して運用していく予算もしっかり確保する必要があります。


次に青矢印の反応です。もちろん自社のウェブにアクセスされたりすることを指すのですが、この回数だけでなく、内容・質が非常に重要です。またせっかく来たアクセスをどうするのかあらかじめ作戦を立てておかないといけません。やはり継続して運用する必要があります。


最後にTwitter、Facebook、InstagramなどのSNSは右側の緑色のゾーンに入っており、ウェブサイトとは色分けをしています。これはウェブサイトとSNSは使い方が全然違うということを示しています。

 

 

 

検索エンジンで検索した人に自社ウェブサイトを見てもらう



最近は知りたいことや困ったことがある場合はまず検索エンジンで検索をする人が多いです。検索エンジンの検索結果から自社のウェブサイトにアクセスするルートはかなり重要です。検索した人に対して、自社のウェブサイトで有益な情報を提供すれば、自社にも興味を持ってもらえる可能性が高いと考えられます。



セミナーの直前、Googleで「横浜 中小企業 支援」で検索すると見事にIDEC横浜のページが一番上に表示されました。横浜市の中小企業の支援に関する有益な情報がたくさんあるからです。


このように有益な情報であれば、検索エンジンの検索結果の上位、1ページ目の上部に表示される可能性が高いのです。自社のウェブサイトが検索エンジンの検索結果の上位、つまり見やすい場所に出てくるとクリックされる可能性も大きく上がります。

 

 

 

検索結果上位に表示されるための工夫(SEO)


検索結果上位に表示されるための工夫は検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)、通称SEOと呼ばれます。ただし余り複雑に考える必要はありません。まず自社のウェブサイトに有益な情報を掲載すること、そしてそれをどう検索エンジンに正しく登録させるかを考えてください。


検索エンジンはプログラムで自動的にウェブページの内容をスキャンし、検索のためのインデックス(索引データ)を作ります。このインデックスや検索キーワードは全てテキスト(文字)ですから、有益な情報をまずは文字、つまり文章で書いていただければよいわけです。


また技術的に凝ったことをする必要はありません。通常ウェブサイトに掲載する記事はHTMLという言語で記載をするのですが、このHTMLは文章のどの場所が「大見出し」・「中見出し」・「本文」などかを明示的に示す仕組み(構造化)があり、検索エンジンの自動プログラムから見る場合、自動的にインデックスを作りやすいのです。


画像・動画・VR(バーチャルリアリティー)など、見た目にもっとこだわる必要があるのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは主にウェブサイトに来た人を楽しませるための工夫です。まずウェブサイトに来てもらわないとお話になりません。


またテキストならPDFや電子カタログは良いのではないかと思われるかもしれませんが、これらは文字の太さや大きさなどの修飾情報は含まれますが、 HTMLのように構造化はされていません。検索エンジンへの登録を考えると余り有利とはいえません。


最初から見た目にお金を使う必要はありません。まずは有益な情報を記事の形で普通のウェブページ、つまりテキスト(HTML)+多少の補足画像を使って掲載するのが一番なのです。

 

 

 

SEO対策を名乗るこんな業者に注意


SEOを請け負う業者という存在もありますが、十分な力量がない、あるいは詐欺に近い業者も多いので注意が必要です。


例えば、広告メールや電話で営業してくる業者がいますが、そもそもSEOの技術がある業者であれば、検索エンジンの上位にその業者のウェブサイトが掲載され、十分な集客ができるはずなのです。それを広告メールや電話で営業している時点で矛盾があります。


また不届きな業者の多くは不正な手段で検索結果の順位を上げようとします。こういった不正行為がGoogleに発見されると、最悪は検索結果全てから自社サイトが排除されることもあります。これをネットスラング(俗語)で「村八分」ならぬ「Google八分」という風に言われることもあります。


自社ウェブサイトを見てもらうための工夫は技術だけの話ではありません。文章の書き方など、マーケティング上の課題も含めて考えるものです。専門業者に任せること自体は構わないのですが「必要な物」を理詰めで考えて買うべきだと思います。


こういった時のために第三者的な意見を聴くことができるIDEC横浜の各種相談制度はあるのだと思います。是非積極的に使いましょう。

 

 

 

有益な情報=検索したい人が見たい情報


繰り返しになりますが、「有益な情報」とは「検索したい人が見たい情報」であり、「自社が提供したい情報」ではありません。当たり前だと思われるかもしれませんが、自社に当てはめると「検索したい人が見たい情報」を考えるのは容易ではありません。


うちの会社(パングー)で説明をしましょう。うちの業務は平たく言えば「台湾ビジネス支援」です。でも検索する人がいきなり「台湾 ビジネス 支援」のキーワードで検索するとは考えづらいです。


台湾ビジネス支援の潜在顧客の課題としては、例えば「台湾での会社設立どうすればいいかな?」などの方が自然で、そうすると検索されるキーワードは「台湾 会社 設立」などになる可能性が高いわけです。


そうすると「台湾会社設立に関する記事」を書くと読んでもらえる可能性が高いだろう・・・という仮説を立て、検証していくことが「有益な情報」を考える上で非常に大切です。


またこういった記事を読んでもらった後、どういう提案をするかも大事です。例えばうちの場合は無料相談の案内をしています。こうやって台湾会社設立代行や支援サービスへの申込に向けたクロージングを行うわけですね。


ここで間違えてはいけないことがあって、いくらキーワードが含まれているからと言っても、表や箇条書きだけで情報を掲載してはいけないということです。


例えば、いくら台湾での会社設立に興味があっても、会社設立の手順や関連法規を箇条書きされたら、情報量が多すぎて頭に入りません。読み手が興味を引き、頭に入りやすいストーリー仕立てにすることで、初めて情報提供になるわけです。


もう一つは「検索したい人が見たい情報」であっても、自社に関係がない情報は、集客という目的からすると無意味ということです。例えば「台湾のおいしい店」の記事を出しても台湾ビジネス支援の仕事に繋がる可能性は限りなく低いと思います。

 

 

 

こんな失敗例も、仮説→検証→改善が大事


昔台湾ビジネス支援を申し込みそうな潜在顧客が検索しそうなキーワードとして「台湾 起業」という仮説を立て、色々記事を書き、実際うちのウェブサイトにアクセスもそれなりに来ました。しかし結果としてこの仮説は正しくありませんでした。


まず「台湾 起業」でアクセスした人の多くは、自分でビジネスを起こした経験がない、場合によっては社会人経験も少ない個人で、記事も余り読んでおらず、無料相談目当てで来ていたのです。場合によっては「台湾 起業 無料相談」でいきなり検索して無料相談だけ申し込む人もいました。もちろんうちにお金を払う気などありませんでした。


無料が目当てになってくるとなぜかマナーが悪い人が増えます。相談時間を予約しても無断で欠席したり、無料相談の規定を無視し、何度も無料相談を要求したりと、自社のビジネスにつながらないどころか、対応に時間を取られることにもなりました。


こういうことはやってみなくては分からないことなので、そういう点でもウェブサイトは制作だけでなく、継続して運用し、修正していくことが大事なのです。

 

 

 

SNSは長期的なファンづくり



最初の方でウェブサイトとSNSは使い方が全然違うと言う話をしましたが、例えばパングーでは以下のような情報を「タイトル+アイキャッチ画像(読者の目をひきつけるための画像)+短文」の形で「ゆるく」流しています。

  • 台湾ビジネスに関する小ネタ
  • ビジネス以外でも台湾の関する話題
  • ウェブサイト更新情報


目的としてはまずSNSページを「購読」してもらうことです。Twitterでは「フォロー」と呼ばれます。同好会やクラブの会報のように自社のSNSでの発信をかなりの確率で見てくれる長期的なファンになってもらうというのが狙いです。


もう一つの目的はSNSで発信した情報に「いいね」を押してもらう、もしくは転送してもらうことです。転送をFacebookでは「シェア」、Twitterでは「リツイート」とも言います。


まずは購読者が「いいね」を押したり、転送してくれると、その購読者とSNS上で友達になっている人に情報が拡散されます。購読者の友達からさらにその友達に拡散することもあります。


多くの人によって「いいね」や転送がどんどん行われると、発信した情報の閲覧回数が爆発的に増えるときがあります。これを「バズる」ということもあります。英語の「buzz」、ハチがぶんぶん飛ぶことに由来したネットスラングで、SNSで自社が発信した情報が注目されるということです。


例えば自社SNSページとつながっている購読者が100人いるとします。この購読者1人平均SNS上で100人友達がいるとすると、この100人の購読者が「いいね」を押したり、転送してくれるだけで、100×100=1万人の人に情報が拡散することになります。


さらに購読者の友達の友達まで入れると100×100×100=100万人もの人に拡散される可能性があるわけです。さすがにここまでうまくいくかどうかは分かりませんが、口コミのようにオンラインで情報を拡散させることでこうやって自社の知名度を少しでも高めていくわけです。

 

 

 

ネットを使ったマーケティングも段取りが重要



先ほどからSNSとウェブサイトでは使い方が違うという話を何度かしましたが、これは潜在顧客の状況によって使い分けるべきものです。


例えば表での一番上「いつか」の段階の潜在顧客に対してはSNSで長期的な繋がりを作る、また「そろそろ」「悩み中」「詳細検討中」になってくると検索エンジンで調べたりする可能性が高いので、そこから自社のウェブサイトに誘導する、「今すぐ」の段階になってくると例えば無料相談などで後押しする・・・などの使い分けが必要なわけです。


皆様の業界・自社製品やサービスによって、提供すべき情報発信の内容は変わってくるかと思います。最終的には自社の事をよく御存じなのは皆さまですが、第三者的な観点も得ながら仮説を立てるためには、IDEC横浜の相談制度もご利用いただければと思います。

 

 

 

他のサイトとのつながり、リンク


ウェブサイトについては他のサイトからのリンクも重要です。もちろん良いコンテンツを掲載していけば、他薦で自然に掲載されるものではあるのですが、もう少し積極的にリンクをつくっていくこともできます。


例えば専門サイトというのは海外ではB2B取引サイトで有名なAlibaba(アリババ)というのもありますし、日本でも製造業やものづくりの「ポータルサイト(入口サイト)」というのも色々存在します。こういったサイトは無料で登録できることも多く、まずは試してみる価値があるでしょう。


なお、IDEC横浜が配布している「横浜ものづくり企業ガイド」も元々印刷物から出発したせいかコンテンツ部分はPDFファイルのダウンロードになっていますが、それでも企業の公式ウェブサイトにリンクを貼るなど、ポータルサイトとしての役割も果たしています。


ニュースサイトについてはプレスリリース(報道発表)を送ってみると、ニュースとして取り上げる価値があると相手が考えれば掲載される可能性があります。報道として自社が取り上げると報道機関の権威もあって信頼性が高いので、試してみる価値があると思います。ちなみにプレスリリースの送り先はニュースサイトに記載されているばあいもありますし、各メディアの連絡先の一覧も出版されています。


こうやって良いサイトから張られたリンクは、そこから自社サイトに集客できるのと同時に、検索エンジンもこういった繋がりを参考にするので、SEO上プラスになります。


ただしこの原理を利用し、怪しいサイト・中身のないサイトからのリンクを張るなどの不正を勧めてくる業者もいます。こういった不正は短期的にはごまかせてもいずれバレます。そうなると最悪は検索結果全てから自社サイトが排除されることもありますので注意してください。

 

 

 

ここまでのまとめ


まず継続して情報発信・運用しないとウェブの意味がありません。よってウェブサイト開設以上に、運営にもしっかり予算や人員などを配分する必要があります。


また自社ウェブサイトへのアクセスの数だけでなく、質も問題であり、ちゃんとチェックする必要がありますし、通常の営業と同じく、ウェブでも売り込みの流れ・段取りは重要です。


ウェブサイトはみんなが利用している道具ですが、これを作成する側に回ると意外に正しく理解している人が少ないのが現状です。ウェブサイトも技術的にはいろいろ進んでいますが、有益な情報を提供するという基本は変わりはありません。


今回、着実な、悪く言えば地味なアプローチを説明していますが、ウェブサイトやSNSも含めて、営業に「魔法の杖」などまず存在しません。そういう意味では地味な努力を飛ばしてすぐ営業成果が上がるような怪しい話にはやはり注意する必要があります。


繰り返しになりますが、第三者的な意見を聴くことができるIDEC横浜の各種相談制度はあるのだと思います。是非積極的に使いましょう。

 

 

 

台湾の展示会の話


ウェブの話はかなり長くなりましたが、ようやく展示会の話になります。台湾では海外からも出展されるある程度大型の展示会に絞っても年間100回以上開催されます。もちろん台湾の大企業も中小企業も展示会を活用してビジネスチャンスを獲得しています。


展示会のメリット


展示会のメリットはなによりも業界関係者が集まることです。この中から興味を持って自社ブースに近づいた人に上手にアプローチをすることで、効率良く、かつ対等に知り合える機会を作ることができます。


顧客獲得ができるかどうかは自社製品次第ですが、すぐに顧客獲得ができなくても、台湾市場関係者の声を直接聞くことで、自社の改善につなげることができます。


顧客獲得というと、人脈を通じた紹介を考える方が少なくありませんが、そもそも売り込みに相手に押し掛けるだけで、相手の立場からすると「相手をしてあげた」という気持ちにさせてしまい、最初から弱い立場で売り込みをすることになります。


またコネに頼るのは、例えばより最適なパートナーを見つけたとしても切り替えられないなど、最終的にはとても高くつくことが少なくありません。


私(講師)としては、展示会のような透明性の高い方法は実は一番近道になるのではないかと思います。


「標準ブース」で費用を抑える


まず台湾出展会の出展費用は展示会によって変わりますが、3×3メートルの1小間で出展する場合は、800米ドル未満〜2,000米ドルの間が多いです。


ここに仕切りや看板などを立てて、ブースを設営する必要があるのですが、予算を抑えて出店をするには、展示会主催者の内装指定業者が用意する「標準ブース」を利用すると良いと思います。設置費用は例えば上図のシンプルなものが350米ドルとなっています。


「標準ブース」であっても予算を追加すればカスタマイズ可能で、一から内装業者に頼んで独自のブースを設置するよりも安く上がることが多いです。

 

 

 

戦場はブースの外



業界や商品にもよりますが、ブースの中に引っ込んでいては、なかなかお客さんの興味も引けません。例えばこんな工夫をすることでより来訪者が立ち寄りやすいブースになります。

  • 展示台や出展製品は通路側・最前面に置くことで、持った来場者が心理的抵抗なく、出展製品に触れたり、近づいて見ることができます。
  • 看板のカスタマイズ。社名だけでなく、製品名などを入れられれば安い割に目立たせやすいです。
  • ブース奥の仕切りパネルも面積が大きいので、業者に依頼してパネル全面に大型シールを印刷・貼付したりすると良いアイキャッチ(目を引く広告)になります。
  • のぼり・立て看板・横断幕などのPOP広告も来場者の足を止めるためのアイキャッチとして有効です。
  • モニターと小型スピーカーを設置して映像を流すと費用対効果の良い、優れたアイキャッチになります。映像が無くてもパワーポイントで中国語字幕入りのスライドを作ればよいのです。


展示会の流れを考えよう


海外の展示会ではつい興奮してしまいがちですが、自社ブースにどう足を止めてもらい、どういう流れで知り合うかをよく考える必要があります。業界などによって変わってくる場合もありますが、例えばこんな流れで進めるべきだと思います。

  • ブースの外でチラシをたくさんの人に渡し、声をかける。
  • 興味を持って足を止めた人には説明員が簡単に説明。
  • さらに興味を持った人からは名刺をもらうか、アンケートに回答してもらう。
  • ちょっと難しい説明はブース責任者が行う。
  • さらに難しい説明は名刺や連絡先をもらい、後日回答する。


流れを考えたらその準備も重要です。


例えば、たくさんの人に渡すチラシはA4・1枚で、機会損失が無いように大量に準備しておくべきです。また説明員が簡単な説明を行えるようにするためにはチラシ+αの少し詳しい情報が含まれる資料を作って見せておく必要があります。


またアンケートに回答してもらったり、名刺をもらったりするには、来訪者が負担にならないレベルの量や設問のアンケートを準備しておく必要もあります。


なによりもこれらは日本語や英語や簡体字中国語ではなく、もちろん台湾の中国語(繁体字)で準備しておく必要があります。

 

 

 

説明員を必要な人数確保


また説明員は来訪者との最初に接触をする人たちです。適当に考えてはいけません。


こういうことを言うとショックかもしれませんが、中国語ができない日本人の方はブースではほぼ戦力外と考えるべきです。チラシを渡すくらいはできるかもしれませんが、結局声かけもできませんし、質問されても答えられません。


そんなことをするならちゃんと社内を説得して、説明員の人数を確保しましょう。1小間・3×3メートルのブースの場合は、前に2名は配置しておくと同時に複数の来訪者が来ても対応しやすいと思います。


あと休憩もさせず8時間ぶっ続けで立たせるのは無茶です。ちゃんと交代で休憩できるように+1名で3名は確保しましょう。


あと説明員と通訳は必要とする能力が違います。例えば説明員は、若い人と話したいだけ、ブース内の椅子に座りたいだけ、自分の知識を自慢したいだけ・・・などの「招かざる客」をあしらう能力なども必要です。しかしちゃんと中国語の資料を準備して研修すれば日本語は必要ありません。


よく見かけるのは通訳を説明員兼務にする事例ですが、日本語能力を求める分、割高になりますし、かといって通訳には説明員としての力量がイマイチなひとも少なくなく、余りお勧めできません。

 

 

 

日本から日本人を派遣しないと成立しないのは日本の中小企業に共通する弱点


通訳を説明員兼務にする理由として、説明員への教育資料が、中国語はおろか、日本語でさえ準備できておらず、現場で日本から派遣された担当者が通訳を通して答えざるを得ないという事例が結構あります。


通訳を通したやり取りは2つの言語で同じ内容を話す以上、最低でも2倍の時間がかかります。せっかく多くの業界関係者と知り合える展示会というチャンスなのに、そういう形で時間を無駄にするのは惜しいことです。


「現地現物」といえば聞こえは良いですが、こうやってブースが日本から日本人を派遣しないと成立しないのは、それだけ実態に即した販促資料などが蓄積できていない中小企業が多いのではないかと思います。

 

 

 

営業に近道無し、地道な努力こそ王道


海外展示会もウェブサイトと同じく出展したら終わりではなく、知り合った人とは継続して連絡を取っていく必要もありますし、なによりも海外展示会のパンフレットや説明員の売込の向上も来訪者の反応を元に色々試行錯誤してみる必要があります。


海外展示会や海外向けウェブサイトを知識の「言語化」のきっかけに


例えば海外展示会をきっかけに、分かりやすい自社や自社製品の説明資料を作っていきましょう。最初は日本語で構いませんが、日本の業界を必ずしも知らない外国人でも分かるように、難しい専門用語を排し、分かりやすく書く必要があります。


また日本の自業界では「当たり前」なことが、海外や他業界では「すごい」ことになるかもしれない、こういった「当たり前」 のことを含めて書く必要もあります。


分かりやすく書かれた資料は色々な言語への翻訳のベースにすることもできますし、語訳の可能性を下げることもできます。


また分かりやすい資料は、日本語のままでも、新入社員への研修、今までとは違う異業界の顧客への説明などにも「使いまわし」が利き、ウェブサイトに掲載する資料にもなります。


逆に海外向けのウェブサイトに掲載する資料も、日本の業界を必ずしも知らない外国人を前提に書くものですので、これも台湾展示会などに「使いまわし」が可能です。


つまり海外展示会や海外向けウェブサイトを良い機会として自社や自社製品を文章や図表を組み合わせて分かりやすく紹介した資料を作成し、蓄積していくようにすることを意識すると、自社やその製品の強みを言語化して分かりやすく伝える準備ができるのです。

 

 

 

ネットの時代こそ、テキスト(文字)情報が重要


またネットの時代こそ、動画などではなく、テキスト(文字)で書いた内容が重要になることも心にとめておいてください。


例えば動画だとなかなか気楽に編集とはいきませんし、そもそも動画を作るのだって脚本が必要ですし、字幕が入っていることも多いです。また動画は動画を見る間、拘束されますが、文字は受け手が自分のスピードで読むことが可能です。


検索のキーワードもテキストですし、音声・画像・動画も検索のためテキストでその内容を付記します。またテキスト文字が一番ファイルサイズが小さく、自分で編集もでき、流通に便利です。

 

 

 

何から始めるべきかは是非ご相談を


今回はウェブサイトも展示会も細かいところはかなり省いてお話をしました。また今回は地味な部分を中心に敢えてお話をしました。再度になりますが、営業に「魔法の杖」など存在しません。


しかし海外展示会にただ参加して終わらせたり、海外向けウェブサイトをただ開設して放置するのではなく、継続して取り組むことを意識し、またこれを良い機会に自社の強みや知識を言語化する・もしくは見直すチャンスにしていけば、一粒で何度も美味しくすることが可能です。


ただいきなり細かい説明を聞いても何から始めたら良いのかピンとこないのは当然のことです。まずは地道な努力が必要であることを理解いただいたうえで、どこから始めたらよいかはIDEC横浜の各種相談制度を使って相談をしてみてください。


本セミナーの動画はyoutubeで公開中!! ▶▶▶ 動画


台湾サポートデスク
Pangoo Company Limited 代表 吉野 貴宣


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公開日時
2022年3月19日(土)