海外展開
建設業
ベトナムでの現地法人設立を模索 IDEC横浜のF/S調査助成金事業に採択される
デザイン力をいかして 新事業への挑戦スタート
風知蒼は2009年に創業。多くの住宅の玄関周りや外周、駐車場、テラス・デッキなどの外構・庭をデザイン・施工してきた。家の新築や改築の際、建物とそのインテリアデザインに目が行きがちだが、機能的・デザイン的に優れた外構・庭は、日々の生活を格段に向上させ、建物を引き立ててくれる。
「お客様から相談を受けたら、要望をヒアリングしながら建築図面を基にデザインを考えます。そしてお客様に外構デザインの雰囲気やイメージを持ってもらいやすいようにカラー図面を用意します」こう話すのは、ディレクターの小林理恵氏。このカラーデザイン図面は、お客様とでき上がりイメージを共有しやすいだけでなく、ワクワク感をアップさせてくれるものだという。
「今後の国内需要の鈍化や費用対効果の向上を考えて、この図面作成をベトナムで事業化することを考えています」と、同じくディレクターの三輪智也氏。日本国内の新築やリフォームの需要は、この先増えていくとは考えにくい。新しいアイデアを考えていく中で、経済成長著しいベトナムでの事業が浮上したという。
ベトナムでの拠点をいかし 風知蒼ならではのデザインを磨いていく
ベトナムとは以前から仕事でのつながりがあった。デザインの感覚が似ていることを感じており、ITに強い人材が多いこともメリットに感じた。ベトナムの高所得者層の間では、日本庭園への関心も高まっていた。
2022年4月、江本社長がIDEC横浜にベトナムでの事業展開について相談に訪れた。そこで「海外進出支援事業事業化可能性調査(F/S)助成金事業」を案内される。同事業は、3年以内に海外拠点設立の計画を持つ市内中小企業を対象に、海外拠点設立等の事業化可能性調査(F/S)調査の支援を行う。IDEC横浜のアドバイスを受けながら申請し、50万円の助成が決定。「助成金事業への応募が、事業化準備のための良いペースメーカーになりました」と三輪氏。8〜9月にベトナムへ赴き、まず仕事の委託先としてのパートナー企業を探した。11月には現地に仮事務所を設置し、既に2名のベトナム人スタッフが常駐している。今後、行き来を重ねて理解を深め、風知蒼らしいデザイン図面をCADを使って描けるように教える予定だ。またベトナム人側からは日本の建築事情や文化を学びたいという声があがっている。1年後には現地法人化して、図面センターを軌道に乗せることが目標だ。
(支援事例集2023掲載)
成功のポイント
- IDEC 横浜の助成金採択及び専門家支援を通じて、進出に向けた現地調査を加速させたこと。
- オリジナリティのあるデザインと自社システムによる施工図面に優位性を見出し、主力商品として市場展開する計画であること。
- 若手を中心に海外進出プロジェクトチームを立ち上げ、自由な発想のもとスピード感をもって展開していること。