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インドネシア「新型コロナウィルスの影響」
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海外現地レポート

新型コロナウィルスの影響

 世界4位の人口約2億7千万人の90%がイスラム教信者であり世界一のムスリム人口をかかえるインドネシア。今年は新型コロナの影響でステイホームの中でのラマダンという1か月の断食期間を過ごし、5月24日・25日に断食明けのレバランという大祭を迎える。モスク(イスラムの礼拝堂)での祈りは神との約束、それも今年は密集を避けるため政府に禁止をされている。

 例年、このレバランに家族が集まることを楽しみに、国民の大移動が始まるが、ジャカルタ州からの帰省もコロナ感染者を増やさないため禁止だ。このレバラン期の感染拡大の防止がインドネシア政府の目下の最大の目標だ。本日現在、感染者は19000人、死亡者は1200人程度。人口が多いから多くなるのもいたし方ないのだが、感染者数はアセアン他国と比較して死者数が多く医療の脆弱さが現れた形だ。NNAの調査(https://www.nna.jp/news/show/2033120)においても日系企業の駐在員の日本への退避対応はインドネシアが「退避させる・準備中」が約65%でインドに次いで2番目に高かった。丸紅がインドネシア財閥のもつ病院に投資するなど日系企業のインドネシアの医療事業への関心もみられるが、広大な国に良い医療が届きわたることはアフターコロナにも大きな課題となるであろう。

 インドネシアは昨年の大統領選挙で民間出身のジョコ大統領が2期目を勝ち取り、2045年の先進国入り宣言と共に投資環境の改善策などが実現されるのではと外国企業も期待を寄せていた。弊社においても今年第1四半期は外資企業の新規進出相談も相次ぎ、求人数では昨年同期比28%増のスタートだった。人口だけでなく東西飛行機で7時間、1万を超える島からなるこの大国が成長していくのは簡単ではない。ましてやこの厄介な感染症をどう克服するのか。ジョコ大統領政府には欧米で学んだ優秀なテクノクラートたちが選ばれている。その知を結集して、まずはこの危機を無事乗り切ってくれることにエールを贈りたい。



2020年5月
インドネシアサポートデスク
(JACリクルートメントインドネシア 小林千絵)


公開日時
2020年5月25日(月)