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同社の則行正信社長

IT・IoT・技術 製造業
技術の専門家によるアドバイスで商品化に成功

平面波スピーカーで追求する無限の可能性
株式会社ドリーム【製造業】

ウィズコロナ時代で注目される製品

「平面波スピーカーの可能性は無限にあります」。そう語るのは、ドリーム(港北区)のロレタン・ジュリアン国際事業部長です。1985年10月、横浜で産声を上げた同社が手掛けるのは「PA(PublicAddress)」と呼ばれる事業です。
コンサートやイベント、展示会、講演会…。会場で「音」を確実に届けるために、音響機器のプランを練り、現場でオペレーションなどに携わる仕事です。同社は、36年間で計1万5000件ほどの現場をこなしており、その数からも音響ノウハウに対する信頼性がうかがえます。

「音」を確実に届ける

そんな同社が10年以上前にスタートしたのが「平面波スピーカー」の開発です。PA(音響業務)とともに、会社の新たな柱になる事業として育成しています。平面波スピーカーとは何でしょうか。私たちがよく目にする一般的なコーン型スピーカーは、音が四方に放射線状に広がります。広範囲はカバーできるものの、天井や床からの反射音が発生します。そのため、聞き取りにくいこともあります。
それに対し平面波スピーカーは、音が直線的に進みます。拡散しないので、反射音が少なく、明瞭に届きます。現在、国内でこの技術を扱っている企業は「当社を含めてごくわずかしかいません」(ロレタン国際事業部長)と言います。
そうした技術で現在、卓上型平面波スピーカーの「kikowell(キコウェル)」、大型の「JustHit」、室内外で使用する普及型の「TELLER」の計3種類を製品化しています。IDEC横浜はこれらの製品化に当たり、開発のアドバイスや販路開拓の支援などをしました。
中でも「kikowell」は現在のコロナ禍で注目されています。今や新型コロナウイルス対策のため、マスク着用は当たり前になり、企業の窓口には透明のアクリルパーテーションなどが設置されています。
しかし、飛まつ対策をすればするほど、「会話」が聞き取りにくくなってしまいます。それを解決するツールとして「kikowell」があります。もともと、高齢者などの難聴者向けに開発されたものですが、窓口に置くことで、声を確実に届けます。平面波スピーカーならではの「音を直線的に届ける」という特徴があるため、音が周囲に漏れる心配もありません。
同製品は令和元年度の横浜市販路開拓支援事業(トライアル発注型)にも認定されました。今後は役場及び市役所、ナンバーセンターのみならず、空港やホテルのフロント、銀行、チケット売り場など、あらゆる場所への販路拡大が期待されています。【2021年度支援事例】

成功のポイント

  • 則行社長とロレタン部長の好奇心・探求心の強さ。両者の優れた個性が製品づくりにおいてシナジーを生んでいる。
  • 36年間におよぶ現場での知見(PA事業)を製品づくりに活かしている。
  • コロナ禍にあっても、FMヨコハマRADIOSHOPPINGへの出演、みなとみらい地区での音楽イベントの主催など、チャレンジを加速し続けている。

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