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医療を変える小さなデバイス

創業 製造業
横浜ビジネスプラングランプリ入賞。医療関連の支援により事業展開

患者のQOL向上を実現する小型デバイス
アットドウス株式会社【製造業】

投薬のストレス、身体的負担を軽減

点滴を受けている間は自由にできない。そんな“束縛”から解放し、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上を実現しようと、アットドウス(旭区)は、これまで誰もが目にしたことがない小型装置の開発に挑んでいます。同社が市場投入を進めているのが、モバイル型の投薬・点滴デバイス、その名も「atDose(アットドウス)」です。
通常、病院で点滴を受ける時には、薬剤を生理食塩水に混ぜながら少しずつ投薬されます。しかし、その間、患者は身動きが取れません。一方、口から投薬する場合でも、服薬量のごく一部しか患部へ到達せず、結果的に他の臓器にも負担をかけてしまう恐れがあります。そこで出番なのが開発中の「アットドウス」なのです。
同装置は、超微細な針と、独自技術が詰まった小型ポンプで構成。このポンプを用いて高濃度の薬液を超微量に投薬し続けることで、大がかりな点滴装置と同じ機能を持たせることができるのです。コア技術は超微量の薬液を人体に送り続けることができる「電気浸透流ポンプ」です。電気の流れを水の流れに変える技術ですが、19世紀初頭にロシアの物理学者が発見した技術としても知られています。長年にわたり実用化が進められてきましたが、今時点でノウハウを持っているのは「当社を除き、ほとんどありません」(中村秀剛社長)としています。

22年中に第一弾を投入

同社は第一弾として2022年中に小型で低価格の点滴静脈注射用装置「アットドウス・マルチ」の製品化を計画しています。2020年7月には第一種医療機器製造販売業も登録しました。
医療現場で点滴静脈注射が果たす役割は大きいですが、患者によっては複数の薬剤を組み合わせ、適切なタイミングや量で投薬する必要があります。現在はシリンジポンプを経由し投薬されていますが、そもそも薬剤1種類につき、1台のシリンジポンプが必須です。そのため、広いスペースを取るだけでなく、人が管理するのでミスにつながる可能性も否定できません。
その点、先の「電気浸透流ポンプ」を採用することで「シリンジポンプと比べ10分の1のサイズ・価格が実現できます」(中村社長)としています。IoT化しパソコンやスマートフォンで投薬を管理することも可能です。また、第二、第三弾として、持ち運び型の点滴装置「アットドウス・モバイル」、抗がん剤などを患部に直接微量で投薬する「アットドウス・コア」の開発も進めています。【2021年度支援事例】

成功のポイント

  • 横浜ビジネスグランプリ2020オーディエンス賞受賞、横浜市「YOXOアクセラレータープログラム」採択など、積極的に事業PRの機会を獲得している。
  • 医療機器製造販売業登録に向けての準備、また医療機器としてのデザインや機能性の検討段階など、場面に応じて適切な専門家の助言を受け、スピード感ある事業展開を行っている。

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