

マッチング
製造業
市内外資系企業と市内製造業がマッチング
多国籍企業であるソコモアジャパンは橋梁や航空機の剥離剤を販売
株式会社ソコモアジャパン(ソコモア社)は、フランスのヴァンヌに本社を構えるGroup SOCOMORE社の日本法人として、航空機の表面処理剤や米国MIL ※規格の特殊塗料、橋梁用塗膜剥離剤をはじめとする化学製品を輸入・販売しています。
これまでは、橋梁・航空機用の剥離剤をカナダ工場で製造し、輸入販売してきました。
航空機の機体に塗られた塗料は、紫外線などの影響で塗料が傷むことなどから、通常6~7年おきに塗り替えます。ソコモア社は、航空機の塗装を塗り替える前に、化学的な処理で塗装を剥がす剥離剤を製造しています。ちなみに約180人乗りの旅客機では約1.5トン近くの剥離剤を塗布します。
航空機以外の用途としては、国内にある橋梁は1970 ~ 80 年代に作られたものが多く、当時は防錆塗料の下地に鉛、塗料にはPCB(ポリ塩化ビフェニル)系が使われていました。10 年ほど前にこれらの塗料が問題となり、航空機用の剥離剤を改良し、橋梁補修用製品を提供するようになりました。橋梁用の剥離剤は自治体や道路等を管理する団体等に販売しています。
※ MIL:アメリカ国防総省が必要とする様々な物資の調達に使われる規格を総称したもの。

原材料価格の高騰対策とCO2 排出量の削減に貢献
新型コロナウイルス禍以降は、世界的な原材料価格や輸送費の高騰を受け、物流コストやCO2 排出量の削減が大きな課題でした。
近年著しい発展をするアジア市場への積極的な展開を考える中、もし日本に製造拠点ができれば、従来の輸送距離の半分となり、輸送コスト、時間、CO2 排出量が大幅に削減されるため、ソコモア社は、2022 年11 月に日本国内に製造拠点を確保することを検討し始めました。
マッチング先は品質管理と改善マインドが積極的
ソコモア社代表取締役の小林氏は、「マッチングで感じたのは、品質管理がしっかりしていることや自ら進んで改善しようというマインドです。工程の見直しなどについて、積極的に提案してもらえることも魅力的です。また納期厳守の意識も、日本メーカーの特徴ではないでしょうか。生産委託先の候補は県外を含めて数社ありましたが、横浜油脂工業はソコモア社の要望を満たす剥離剤を生産できる技術を保有している同じ横浜市内の企業であることから、週何度もお互いに行き来し、工場でのテストを繰り返すことで短期間で商品化が可能になりました」と話しています。
これからの展開について
小林氏自身は、国内通信機器メーカー勤務後、欧州化学メーカーに15 年勤務して、化学の品質管理も含め国内企業との協業に携わってきました。ソコモア社では、日々の業務をこなしつつ、マッチング先を見つけなくてはならず、今回、公的機関からの紹介でマッチング先が見つかり、いいタイミングでスタートを切ることができたと語っています。
ソコモア社の日本における事業展開としては、航空機・一般工業向けでの需要拡大を見込んでおり、他の製品においても協力パートナーを確保して更に国内生産体制を整えると同時に、時代の経営人材を育てていきたいとしています。
成功のポイント
- 連携先企業を探す手段として、豊富な経験で横浜市内企業にネットワークを持つIDEC横浜の「ものづくりコーディネーター」へ相談し複数の企業とマッチングできた。
- 発注側企業と受注側企業が近隣のため、打ち合わせ等移動時間・コストが削減できた。
- 受注側企業の迅速な経営判断と対応。
