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製造業
ステレオカメラで安全な世界を! 研究開発から実用化へ新たな展開を創出
ステレオカメラが「ロボットの目」に。 近い将来の実現に多彩な分野が期待
ITD Lab株式会社は、高性能ステレオカメラの研究・開発を行う東京工業大学発のベンチャー企業。研究で培ってきた技術を活用し、さらに高性能なステレオカメラを開発して「事故のない安全な世界をつくりたい」という思いから、2016年5月に設立されました。同社会長の実吉敬二氏は、ステレオカメラによる自動車運転支援システムの発案者としても知られています。
ステレオカメラは人の目のように2 つのレンズでさまざまな物体との距離や形を立体的に撮影することができます。同社の研究開発が実現すれば、自動車や電車、船舶、建機、ドローン、車いすなどの自動運転と衝突防止や転落防止、危険回避などが可能となるため、幅広い分野での活用が期待されています。
2023年6月より、360度監視できるステレオカメラを搭載した電動車いすの自立走行実証実験を、同社近隣にある玄海田公園で毎月実施。障害物の回避や起伏の影響などの検証を重ね、ステレオカメラが人や物との衝突の危険性を未然に判断する「ロボットの目」になることを目指しています。なお、この実験はスタート時から多数のメディアが注目し、さまざまな媒体を通じて、広く発信されています。
公園が実証実験フィールド。 市井の人の声を受けて開発改良へ
横浜市内での実証実験は、今回が初めてのこと。これまでは実験フィールドが整うつくば市へ、その都度、足を運んでいました。玄海田公園は、遊歩道があり、自然も豊富で、多様な利用者に開かれた、まさに最適な実験環境。直接、公園に依頼したこともありましたが、使用許可が得られずにいたところ、IDEC 横浜からの紹介により、新ビジネス創出を目指す「I・TOP 横浜」(横浜市経済局実施)の枠組みを活用し、公園を管理する横浜市環境創造局担当者等との面談が実現しました。そして、関係者と何度か打合せを重ねることで、公園での実証実験の許可が得られました。実験中は公園の利用者から質問を受けることも珍しくありません。「多くの人たちの声を聞くことができるのは大変貴重な経験です。公園で実験ができるよう支援してもらったことは大きいですね」と実吉会長。市井の人たちの視点から新たな研究課題が見つかることも少なくなく、開発の改良につながると話します。また電動車いすに利用マナー啓発ポップを取り付けて走行し、公園のマナーアップキャンペーンにも一役買っています。
IDEC 横浜では大手企業を中心に複数社とのビジネスマッチングを実現するなど、当社のステレオカメラ技術の更なる普及に向け、継続的支援を行っています。
成功のポイント
- IDEC横浜や横浜市との連携により、横浜市内の公園での実証実験が実現。一般の人たちとの交流が生まれたことで、新たな視点での技術開発へとつながった。
- 事業化の段階に応じて、定期的にものづくりコーディネーターに相談を行うことで、数社の大手企業とのマッチングが実現した。