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iPaxはQRコードでも利用できるようにした

販路開拓 情報通信業
医師の聴診スキル向上に向けて 展示会や医療系学会を積極的に活用

聴診学習システムiPaxの利用拡大へ
株式会社 テレメディカ

スマートフォンで学べる 世界初の聴診学習システム

多くの人は、病院で医師が聴診器を胸に当てて、心臓や肺の音を聴く「聴診」を受けた経験があるだろう。聴診は「診断」を目的とする診察技法であり、その技術を身に付けるためには訓練が必要となる。医学生時代に聴診の教育が行われるが、その練習は実習室でしかできないことが、技術習得の課題になっていた。
これを解決するために、テレメディカは、スマートフォンで聴診の学習ができるiPax(アイパクス)を開発した。iPaxは、クラウドで提供される聴診学習システム。インターネット環境があり、専用サイトにアクセスすれば、いつでも、どこでも、生体と変らない聴診音の学習ができる。使い方は、サイト上のシステムにログインし、体のイラストと聴診器が表示されたら、体の聴診する部位をタップ。するとその部位に聴診器が移動し音が再生される仕組みだ。
iPaxには正常な人の聴診音だけでなく、心不全や弁膜症など症例ごとの聴診音も搭載されており、聴き比べも可能。「この音が実際の患者さんと変わらないと国内外の専門家に高く評価されている」と藤木社長は語る。医師にとっては、珍しい疾患の心音や肺音を実際の患者に出会う前に学べる点がメリットとなる。

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聴診学習システムiPaxは、専用サイトにログイン、体のイラストと聴診器が表示されたら聴診する部位をタップ。聴診器がその部位に移動し音が再生される。

医学生の聴診スキルの向上を目指して 聴診学習システムはiPaxの利用拡大へ

2022年4月には、IDEC横浜が共同出展企業を募集した医療系展示会「Medtec Japan」に、11月には上海で開催された「中国国際輸入博覧会」に出展した。こうした活動が、連携先との販売契約の締結につながっている。
また、展示会だけでなく、積極的に医療系の学会でも企業展示を行っている。その中で様々な医師と出会い、「医療系学会教育セッションでiPaxを利用したい」という要望があった。同社は、医学教育発展の良い機会になると考え、医療系学会の教育セッションへの無償貸出しを始めた。そこではiPaxをQRコードでも利用できるようにしている。これにより、「これまでできなかった音の共有ができるようになり、とても役立つ」と教育セッションを担当した講師から高評価を得ている。QRコードで発行することにより、どこででも繰り返し聴診学習することができるようになった。
「聴診音を配布することで、医学生の聴診スキルが高くなることを期待しています。これからも聴診スキルの向上に貢献していきたい」と藤木社長は語る。

(支援事例集2023掲載)

成功のポイント

  • ニッチな市場に目を向けて技術を極めるとともに、IT を組み合わせて課題を解決する製品を開発した。
  • 積極的にPR を行うことで、顧客層が広がり新しいニーズを見出した。
  • 顧客ニーズにあわせた製品投入により、より高い顧客満足が得られた。

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