世界最大の医療機器・技術商談会MEDICA/COMPAMED報告

横浜医工連携プロジェクト アドバイザー
森尾 康二

2016年12月26日(月)

「医工連携 私の視点」とのタイトルでこのシリーズを始めてから、早いものでもう半年になります。この間にいくつかの出来事がありましたが、私にとっては、先日5年ぶりに世界最大の医療機器展示会であるMEDICA・COMPAMED(11月14日~17日)への参加が一番大きなイベントでした。

ご存知の方もおられると思いますがMEDICAは毎年11月中旬にドイツ・デュッセルドルフで開かれている医療機器全てについての商談会です。COMPAMEDは医療機器のための部品、部材、素材、加工方法など開発や技術の商談会でMEDICAに併設されています。
広大なメッセ会場の中に19棟のパビリオンが配置されていて、一つ一つが東京ビッグサイトの1棟並みの大きさなので、4日間の会期中に全てをちゃんと見るのはほぼ不可能な広さです。その規模にも驚かされられますが、この展示会の大きな特徴は、“展示会”ではなく“商談会”と位置付けられていることです。

今年は全世界から5,000社がMEDICAに、774社がCOMPAMEDに出展し、来場者は全世界から127,800人となり、往復の電車も満員、会場も人であふれていました。
日本から出展企業数は、MEDICAに113社が、COMPAMEDに59社、計172社が参加しました。この他に在欧日本企業27社が現地で直接申し込みをしましたので合計199社が出展したことになります。
東芝メディカル、日本光電のような大手企業は独自の立派なパビリオンを作って商談に余念がありませんが、中小の企業とりわけものづくり企業の出展方法については自治体ブースでの出展と自社出展があります。

1つめの自治体ブースは、日本から参加する中小企業の多くは自社が属する自治体のパビリオンの中で先ず参加しています。神戸市、浜松市、埼玉市、福島県等永年に亘って参加している自治体は、これまでの経験に基づいて参加企業の持つ技術・商品・経営能力をしっかりと評価したうえで参加を認めています。
一方自治体の力を借りずに単独出展をしているものづくり企業もあります。この出展方法は、参加の初期においてはなかなか注目を集めることが出来なかったとしても2年、3年と連続して、又同じ場所で展示を続けていると、段々と注目されるようになり固定客が付くようになるというケースがあります。(株)金子製作所(埼玉県)、二九精密機械工業(京都府)が良い例かと思いますし、福島県のパビリオンの中ですが東鋼(東京都)もこの範疇に入って、いずれも「常連」という地位を確立しています。

「常連」としての地位を築いているものづくり企業が共通して持っている特徴は他に比類にない「光る技術」とそれに基づいた「自信」、そしてこの商談会への継続参加・・・これらが成功への鍵となっているようです。
翻って欧米から参加している企業、とりわけスタートアップ企業についてみると「光る技術」や「自信」もさることながら来客に対するアプローチの仕方、客を引き付けるための仕掛け等、我々がまだまだ学ぶべき要素が沢山ある様に感じました。

横浜には高度な医療関連技術を持っておられる企業が数多くあり、更に医療に応用可能な技術を持っておられる企業も沢山あると思います。MEDICA・COMPAMED商談会を遠い先のゴールとして捉えるのではなく、自社の技術を世界に示すチャンスとして捉えて頂ければ有難く、又我々もこれに応えて応援させて頂きたく思っております。

以上

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