新型コロナウイルスと医工連携 その2

横浜医工連携推進コーディネーター
森尾 康二

2021年1月29日(金)

先にこのタイトルでコラムを書いてから半年になる。新型コロナウイルスの正体が段々と明らかになる一方でその狡猾さ(変異種の出現など)もよりはっきりと判る様になってきた。今、第三波の真最中ににあってここ暫くの間この動きから目が離せない。

新型コロナウイルスを制圧するのに ①まず検査体制を更に拡充する ②その一方でマスク・消毒液・アクリル板等の感染防御用品を広く行き渡らせる ③重症者に向けて人工呼吸器・ECMO等を十分に用意する ④同時に治療薬を開発し ⑤ワクチンを早く且つ広く接種できるようにする といった対応策が求められ、その多くが実施されている。

こうした対応策の中心に機器・用品の開発がある。②の感染防御用品の開発・供給がひとつのテーマとなる。確かに初期の段階では一般向けのマスク・消毒液などと医療者向けのマスク・ガウン・フェースシールドなどの不足が顕在化して大混乱に陥った経験がある。時を経て現在はこれらの供給は量的に満たされているように見える。これから先もこうした感染防御用品は大量に供給することが求められ、それらの開発・供給に挑むことは大変意義のあることと考える。この場合、医工連携の立場から見て是非とも考慮して頂きたいことがある。それは、市中にすでにある商品よりもひと工夫もふた工夫もした商品を開発して、より高い価値のある商品の供給に挑んで頂きたいという事である。

こうした新型コロナウイルス感染防御用具の開発においても然りであるが、医療機器・技術の開発においては常に新しい技術・アイデアに基づいて臨床現場に新しい価値をもたらすような考え方が肝要だと思っている。今は新型コロナウイルスの蔓延で医療界はコロナ一色となっていて、コロナ以外に目を振り向ける余裕がないのが現状である。まだまだ深刻な状況から抜け出せる確たるエビデンスはないもののいずれ(願望として今年中には)コロナウイルスを制御できるステージが来ることは確実である。そうなればこの新型コロナウイルスは{COVID19}との名前を持った、インフルエンザと同じように制御可能なウイルスとして我々と長く付き合えるようになる。この間、医工連携活動は当面コロナ制御を中心に続くことになるかもしれないが、同時にコロナ以外の本来の医療機器・技術の開発にも目を向けて、コロナ終息の後に従来の活動に戻れるように期待している。

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