医療機器製造販売業の業許可取得(人的要件)について

横浜医工連携推進コーディネーター
真鍋 緑朗

2020年7月27日(月)

前回の森尾康二さんのコラム(Vol.47)でも「新型コロナへの対応で、人工呼吸器に代表されるように異業種から医療機器業界への参入が相次いでいる。しかしその多くは部品供給に留まっていて、製造販売業の資格を取ってまで完成品を製造販売するという企業は皆無である。」と指摘されていました。

医療機器製造販売業の業許可取得は中小企業にとって確かにハードルが高いです。ご存知の方も多いと思いますが、医療機器では、製造販売業、製造業、修理業、販売業・貸与業の4種の業許可がありますが、製造販売業は平成17年の薬事法大改正で新設されたものです。それまでは製造業が医療機器の承認申請と製造を行っていたのですが、この時から承認申請は製造販売業がやるようになりました。大企業には適していますが、中小企業には厄介な業許可だと思います。

特に小企業にとって一番悩ましいのは人的要件です。三役と言われる総括製造販売責任者(総括)、国内品質業務運営責任者(品責)、安全管理責任者(安責)の3人と、QMS管理責任者が必要になります。兼任も認められていますが、製造販売業の許可の種類(第1種、第2種、第3種)によって条件が異なりますので要注意です。そして、社長と総括・安責の兼任は認められていません。(ただ止むを得ず兼任している事例もあるようです。)

資格要件には学歴要件と実務従事年数が必要なものもあります。学歴も卒業証明書の学科名称だけでは資格に該当すると判断できない場合は、単位取得証明書、さらにはシラバス等の講義内容がわかるものを求められることもあります。いずれにせよ、人的要件をクリアできないと申請もできないので、薬務課と事前によく相談することをお勧めします。それと、たとえクリアできたとしても、将来なんらかの事情により退職されることもあるので、実務の従事年数が要件になっている場合は、当該業務に複数名を関わらせておくことも大事かと思います。

通常、申請時の現地確認では、総括の机の位置なども確認されるのですが、これからテレワークが普及していけばそれも変わっていくかもしれませんね。ちなみに現在のコロナ禍では現地確認は行わず、書面審査になっています。

人的要件がクリアできれば、あとはQMSとGVPの体制を構築する必要がありますが、これに関してはまた改めてお話できればと思います。

医療機器製造販売業の三役

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