“ウェアラブル”の流行と医療機器

横浜医工連携推進コーディネーター
木下 綾子

2020年2月25日(火)

新型コロナウイルスの感染拡大がニュースで騒がれており、国内感染者の増加が心配な状況です。皆さまくれぐれもご注意いただき、うがい・手洗い・マスク着用等の感染予防をお願いいたします。

さて、“ウェアラブル”という言葉が流行り始めて久しいですね。ウェアラブルデバイスと言えば、昔は近未来的なイメージを演出する製品、SF映画に出てくるもの、というイメージでした。1980年代にはゲームウォッチ機能付きの時計、2000年頃には腕時計型のPHSが発売されるなど、最先端の製品として世に出てきたのです。しかし、近年では実用化が進み、多くの方がスマートウォッチを身に着ける時代になりました。医療機器の業界にも“ウェアラブル”の波が来ています。

ウェアラブルデバイスはめがね型、腕時計型、リストバンド型が主流ですが、コンタクトレンズ型、指輪型等、様々なものが発表されています。これらのウェアラブルデバイスと情報通信技術を用いて様々な生体情報を取得し、医療分野に活かすための技術や概念のことをIoMT(Internet of Medical Things)と呼んでいます。

生体情報の活用

これまでは患者が病院を訪れて診察を受けるのが一般的でした。現在話題になっている新型コロナウイルス等の感染症は他の患者や医療従事者にも感染リスクがあるため、遠隔で診察や検査ができるようになれば、感染拡大防止に効果的でしょう。
また、ますます高齢化が進んでいく日本では、医療費増大が大きな課題です。生体情報を継続的に取得し分析すれば、病気の予防やより正確で信頼性の高い診断が可能になります。

医療従事者の負担を軽減

めがね型のウェアラブルデバイスはスマートグラスと呼ばれ、医療従事者の負担を軽減するような取り組みがされています。めがね型は両手をふさがずに利用できるので、衛生的にも医療分野に活用しやすいデバイスです。
音声認識により、スマートグラスに医療機器のマニュアルを表示したり、バイタルサインや電子カルテの情報等を表示する、手術中のモニター映像をスマートグラスに映す、など様々な取り組みがあり、いずれも実用化されている製品もあります。

IoT機器の進化がもっと医療分野でも活用されれば、より質の高い医療サービスが提供でき、医療費の削減にもつながることでしょう!今後の動向を注視していきたいと思います。

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