人工知能(AI)の時代が始まる

横浜医工連携プロジェクト アドバイザー
森尾 康二

2018年4月27日(金)

新しい年度に入ってフレッシュな気持をもって仕事に当っておられる方も多いのではないかと思っています。この季節は医療関係の展示会が次々と開催されるタイミングです。

AI・人工知能EXPO(4月4日―6日 東京ビッグサイト)

国際医用画像総合展ITEM(4月13日―15日 パシフィコ横浜)

Medtec Japan 2018 (4月18日―20日 東京ビッグサイト)

こうした展示会では出品している各企業の技術や商品に出会って、その特徴を当事者から直接聞く事が出来る訳ですが、同時に訪問する方々においても自身の経験と知識を展示者に投げ掛けることによってシナジーを起こせる良い機会になっている事と思います。

今回の一連の展示会を通じて人工知能(AI)がもたらしてくれる力を強く感じています。「AI・人工知能EXPO」は時流に乗っていたという事もあるのでしょうが、来場者の数が非常に多く、とてもじっくりと話が出来る状況ではありませんでした。特に医療・ヘルスケアに特化した展示会ではないために、どの企業がどんな優れた技術を持っていて、成果を上げているのかを探すのに一苦労しましたが、これまでにコンタクトのある企業を含めていくつかの企業の方々からお話を聞く事が出来ました。

このように展示会の会場に登場する企業以外にもAI技術をヘルスケアに利用しようとする企業・団体は数多くあり、今後も更に増えてゆくものと思われます。

発生する様々な原データを蓄積して、この中から共通項を探し出したり、傾向を読み取ったりしながら臨床の場で役に立つ情報に組み立ててゆくのがAI技術だと理解しています。その原データとしてはテキスト(文章)、数字(データ)、画像など様々あるようですが、最近の傾向を見ていますと「画像」から読み解いてゆく手法が先行している感じがします。この中でもとりわけ眼科領域でのAI技術の利用が進んでいるようです。今年1月の日本眼科手術学会において網膜剥離について広角眼底カメラOptosでの画像のAI診断と医師の診断とが対決するイベントがあり、経験豊富な医師もAIに時間的に負けていたとの由です。そしてごく最近の情報によれば、米国FDAはAI技術による糖尿病網膜症の画像診断システムの販売を認可した旨伝えられています。私共はいよいよAI技術の実用化の時代に入ってきたと言えるのではないでしょうか。

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