ファイナリストによる
プレゼンテーションPresentation by Finalists

ファイナリスト
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最優秀賞

高収益と働きやすさを両立する金型交換装置

ニチエツ株式会社:中村 高志 氏
中村 高志 氏
ニチエツ株式会社

スマホのレンズから自動車の部品まで、金型を使って生産するプラスチック部品は多い。生産切替のために金型を交換する作業は重労働で時間がかかり、ときに危険も伴う。この金型交換を自動化する金型交換装置を開発した。

従来、市販されていた金型交換装置の導入率は非常に低かったが、これは「金型交換時間」、「装置の大きさ」、「価格」の点に課題があったためである。

ニチエツ株式会社 中村 高志 氏によるプレゼンテーション
ニチエツ株式会社 中村 高志 氏によるプレゼンテーション

開発した金型交換装置は課題である金型交換時間を他社製品の約15分から最短2秒台へと劇的に速めた。装置の大きさは他社製品の約3分の1であり、価格は他社製品の価格の60%程度に抑えた。

本装置の採用により顧客には大きなメリットが生まれる。具体的には金型交換時間削減により成形機の稼働率向上が可能となることで、売上が最大25%増加し、さらに金型交換のための負担が半分以下に減る。投資回収は1年程度と見積もっている。

この優れた製品を完成できたのは、高速金型交換の先駆者としての技術力、ベトナム子会社での部品生産(横浜にて完成)、優秀なチームの3つの強みがあるためである。

この金型交換装置を開発するに当たり2018年にニチエツ株式会社を立ち上げ2019年にベトナムへ進出した。会社を立ち上げる前、ベトナムに駐在経験があり、優秀なエンジニアが多い点などに着目した。

この装置の製造や販売のために本社のある横浜で雇用を拡大し、横浜市内企業から部品を購入し、横浜港から輸出拡大を図るなど、雇用/税収/輸出の増加で横浜に貢献する。

現在、金型交換装置の導入率は極めて低いが、優れた製品を提供することによって、金型交換装置を導入することを当たり前に変えていきたい。弊社は自動化技術によって世界中の成形工場の課題を解決することで社会に貢献する。

ニチエツ株式会社 中村 高志 氏によるプレゼンテーション

一般部門優秀賞

世界を彩る 未来型フレグランス

株式会社コードミー:太田 賢司 氏
太田 賢司 氏
株式会社コードミー

香料会社で10年間開発の経験を経て香りの可能性を広げるため研究者から経営者に転じた。フレグランスイノベーターとして香りの力で世界を変えたいと考えている。

個人へのサービスとしては3,000以上の香りのパターンから個人に合った香りをラボで調合し定期的に自宅へ配送する月額1,800円の定期購買モデルを作った。香りの調合はWEBサイトで5つの質問に答えてもらうことにより行う。更に、オプションでSNSと連携しAIが解析することによって精神状態に最適化された香りをパーソナライズされる仕組みを作った。このAIとSNS連動型の初のシステムは特許出願中である。

株式会社コードミー 太田 賢司 氏によるプレゼンテーション
株式会社コードミー 太田 賢司 氏によるプレゼンテーション

企業へのサービスとしては、最適な香りを空間でプロデュースしている。科学的なエビデンスに基づくソリューションと人の心を動かすブランディングの2つの領域である。どちらも1スペースあたり月額制で提供している。

1つ目のソリューションの領域では脳波のデータと香りの相関性を快適度、ストレス度、好感度、集中度などで分析し、期待される効果に基づく香りのデータを蓄積する。この結果、電通サイエンスジャムと共同プレスリリースとして「快適」、「集中」、「ストレス軽減」の10%以上改善を実証して配信できた。

この様にソリューションの領域で職場での集中、コミュニケーション活性など、「働く人のコンディション」を香りでデザインする。
更に現在、江戸川病院との共同研究を開始し、抗癌治療への分野へも踏み出した。

2つ目のブランディングの領域では「忘れられない」を香りでデザインしている。具体的には、オフィスの受付周り、アパレルの店内、美容室やホテルにおいて展開している。また、エンタメの領域にも進出し、アーティストとのコラボによりライブを香りで演出した実績もある。

事業として個人向け及び企業向けを合わせて2021年度で年商5億円、2024年度で年商100億円を計画している。

横浜は2020年にオフィス・商業施設・エンタメ施設の建設ラッシュが進んでいる。アートとサイエンスに基づく香りをもって横浜で働く人の笑顔を増やし、横浜を訪れる人の心を動かしていきたい。その世界に彩りを与える未来型フレグランスをこの横浜の地から発信していきたい。

株式会社コードミー 太田 賢司 氏によるプレゼンテーション

シニア賞

架橋ポリエチレン(産廃)の再生原料化と事業化

株式会社リピープラス:塩野 武男 氏
塩野 武男 氏
株式会社リピープラス

電線やケーブルの廃材を扱っている。電線の被覆材を回収し、再生ポリエチレンとして樹脂製敷板「リピーボード」として製品化、製造している。ところが、この樹脂製敷板は使用済み後、従来は産業廃棄物となっていた。これを回収し原料として再利用するビジネスモデルをリピープラスは確立した。

ポリエチレンは買い物袋などに利用されているが熱に弱く、熱に溶けてしまう。このポリエチレンを架橋(化学結合によって分子間をつなぐこと)により熱に溶けない架橋ポリエチレンとして電力ケーブルの絶縁体や給湯管に利用されている。しかし、架橋することにより剛性・耐熱性が向上するが使用後の再生が逆に難しくなっていた。その為、架橋ポリエチレンは再利用が困難なことから産業廃棄物となっていた。一方、良質な再生ポリエチレンは価格が上昇し安定供給に苦慮していた。そこで、架橋ポリエチレンのリサイクル技術の開発を社外とチームを作り経済産業省の補助金も得ながら基礎技術を確立した。

株式会社リピープラス 塩野 武男 氏によるプレゼンテーション
株式会社リピープラス 塩野 武男 氏によるプレゼンテーション

特許出願中の技術である架橋ポリエチレンの分子の一部を物理的、化学的に切ることによりリサイクル化が可能となったのである。

この新しい技術により従来廃棄されていた架橋ポリエチレンをリサイクルしペレットに再生する。このペレットを原料としてプラスチックの射出成型品や押出成型品を製造し提供することを可能にした。

ビジネスとしては、電線の廃材である廃電線を電力会社から受け取り架橋ポリエチレンを原料化する。その原料を用いたリピーボードを再び電力工事に利用されることを考えている。このビジネスモデルにおいて、原料調達から再利用可能にする生産・販売を、実績を元に一手に引き受けることが可能なのが我が社の強みである。

5年後に売上4億円を目指す。更に、架橋ポリエチレンを原料化する設備一式の販売も予定している。

このビジネスの実現により廃プラスチックの減量につながり循環型社会を実現出来る。横浜市の施策(国連;SDGs)にも貢献する。その結果、CO2削減が可能となり、最終埋立処分場の長寿命化にも寄与することになる。

株式会社リピープラス 塩野 武男 氏によるプレゼンテーション

オーディエンス賞

モバイル点滴デバイスで患者のQOLを向上する

アットドウス株式会社:中村 秀剛 氏
中村 秀剛 氏
アットドウス株式会社

日本人の2人に1人は癌になると言われる。癌の治療は主に薬物治療、放射線、手術(切除)があるが、この中で薬物治療、投薬による治療に着目した。投薬では飲み薬がある。飲み薬は定期的に飲むことで効き目のある濃度を保ちかつ副作用にならない程度に濃度を抑える必要がある。

飲み忘れがなく薬の濃度管理が容易なのが点滴である。しかし、従来の点滴は病院に行かなければならない。長い時間拘束される。点滴の間はじっとしていなければならない。と、デメリットも多い。この従来の点滴の問題を解決するデバイスを開発した。atDose、アットドウスである。モバイル、つまり持ち運び出来るデバイスである。

アットドウス株式会社 中村 秀剛 氏によるプレゼンテーション
アットドウス株式会社 中村 秀剛 氏によるプレゼンテーション

何故持ち運び出来る様になるのか。
これは電気浸透流ポンプを採用したことによる。電気の流れを液体の流れに変える、これが電気浸透流ポンプである。このポンプにより小型化を可能にし、軽量化し、価格を抑えることが可能となった。更に、小さな電流、振動が少なく、音がない、逆流がない。この特性を生かし、高濃度の薬剤を超微量に強制的にポンプで送り出すことで持ち運びを可能にする。

併せて、鍼灸師が使うほどの細い針を採用することにより局所に刺し投薬することを考えている。

アットとはattoで10のマイナス18乗を意味する。つまり、超微量である。また、atは局所にという意味がある。ドウスはDoseで投薬を意味する。合わせてアットドウスで「超微量に局所に投薬する」という意味の造語である。

アットドウスを上市する最初のステップとして、検証を行った。高濃度のグルコースをラットに投与する動物実験による検証を実施した。ポンプの小型化やIoTに関する試作・検証にも取り組んだ。

今後、IoTを医療の分野に活用したIoMT/Internet of Medical Thingsの市場が世界全体で2021年までに15兆円に達すると予測されている。

患者のQOLの維持・改善を実現し、癌になっても落ち込まない世界を実現したい。更に、在宅医療や遠隔医療にも展開することを考えている。

アットドウスの事業化推進のために出資してくれる投資家、一緒に製品事業化に協力してくれるパートナー、アットドウスを通して世の中に価値提供したいという志を持つ同志を募りたい。

アットドウス株式会社 中村 秀剛 氏によるプレゼンテーション

学生部門優秀賞

XYZ軸加速度センサー道路異常検出システム

東京工業大学:平賀 良 氏
平賀 良 氏
東京工業大学

産学連携によるスタートアップ支援をビジョンにしている、東京工業大学発ベンチャー「GoMA(ゴーマ)株式会社」代表取締役の平賀は、スマートフォンに内蔵されている加速度センサーを使って、道路異常を検出するシステムを開発した。

社会インフラの一つである道路をメンテナンスするために、どのような調査がされているのか。横浜市では、道路評価マニュアルを独自に作成し、それに基づいて「目視」で調査している。このような、人間の感覚に依存した方法での調査には課題が残る。また地方においては、5.5%もの自治体が道路調査を全くしていないという事実もある。

東京工業大学 平賀 良 氏によるプレゼンテーション
東京工業大学 平賀 良 氏によるプレゼンテーション

さらに、20年間で土木職員数・土木予算は大幅に減少、今後老朽化する社会インフラの割合は、2033年時点で67%に昇る(架橋・トンネル含む)とされ、社会問題化されつつある。いつどこで、道路のひび割れが原因で、事故が起きてもおかしくないのが日本の現状である。

そこで、少人数かつ低予算で、今より多くの社会インフラを目視ではなく、数値に基づいて「定量的」に調査する必要がある。競合である民間企業が提供する道路モニタリングサービスは、月単価が3000~5000万円と高価であり、導入されていないのが実体である。

弊社では、ソフトウェア側のアプローチによって、この問題を解決するサービスを提供する。スマートフォンに内蔵されている加速度センサーを使って、基準点からのずれ(傾き・加速度)を自動で計測し、記録するシステムを開発した。

このシステムを車に設置し、道路異常区間を走行した際に、車体の揺れを検知して計測後、損傷の種類(穴ぼこ・ひび割れ・わだち)を機会学習によって分類する。将来的に、記録したデータをGoogleMapと同期させることによって、地図上にマッピングする。それによって、視覚的情報として損傷の種類、損傷区間、損傷度合い、修復時期をデータ化する。

本システムはソフトウェア側の技術であるため、ハードウェアの開発がない分、低予算で実現可能である。また、目視による調査と比較して、データに基づいた定量的評価であるため、精度が高い。さらに、専門機材を必要とせず、専修的な知見が不要なため、誰でも利用可能であり、人的リソースの少ない地域でも、少人数で対応可能である。

本システムの導入により、例えば横浜市では、道路調査の人件費だけで年間2億円削減可能となる。更に、今より広範囲な調査が可能となり、損傷軽微な段階での発見、補修につながれば、20億円以上のコスト削減・長寿命化になる。主に、市区町村をターゲットとして、月額21万円での定額課金制とする。

日本はこれから4000万人もの人口を失う、超高齢化大国に35年で変貌する。持続可能な社会を実現するためには、ITによるイノベーションが必要不可欠である。

しかし、革新的な技術を持つ、例えば大学の知的財産をビジネスに活かそうとする流れは薄い。また、行政や自治体の受け入れ体制も、信じられないほど遅い。このような課題を多く抱える日本において、GoMA株式会社では、東京工業大学と連携して、大学に眠る技術やアイデアを市場に参入させる産学連携業務をビジョンとし、今後も本事業をはじめとして新たなビジネスを展開していく。

東京工業大学 平賀 良 氏によるプレゼンテーション

女性起業家賞

「だっこ」からはじまる、アクティブですてきなママライフ

colobockle:大ヶ谷 有紀子 氏
大ヶ谷 有紀子 氏
colobockle

お母さんは1日中赤ちゃんを抱っこで下ろせない。抱っこで腱鞘炎、肩こり、背中や腰の痛みに悩んでいる。産後の痛みもある。そんな悩みを解決するため洋服の様に着心地の良い抱っこひも「mico」を開発した。

micoは綿100%で洋服の様に着心地の良い抱っこひも。伸縮性のある素材を抱っこひも全体に使っている。伸びる素材で両肩、背中をすっぽり包む形にした。赤ちゃんの重さを身体全体に分散する。このため荷重がどこか1点にかかることがなく痛みがない。

初めてmicoを使用したママは赤ちゃんが軽く感じると好評。更に、抱っこした姿を見た人が綺麗と言ってくれる。特に、背中がきれいと言われる。首から背中のラインがすっきり見えるからで、ワンピースのシルエットを妨げることもない。よく声をかけられ抱っこ姿を褒められる。そんな声を頂いた。

colobockle 大ヶ谷 有紀子 氏によるプレゼンテーション
colobockle 大ヶ谷 有紀子 氏によるプレゼンテーション

身体の痛みを感じなくなったので長時間でも抱っこしたままに出来る。下ろしたり抱っこしたりするより抱っこしたままの方が楽である。しかも、赤ちゃんにとっても抱っこされたままで不安がなく安心できる。赤ちゃんが抱っこが好きなら、ママも「抱っこ大好き」と感じて欲しい。そんな思いで抱っこひも「mico」を作った。

本業は金沢区のフォトグラファーで今現在3人の子育て中であることから家族写真の依頼が多い。これまで500人を超える家族写真を撮影してきた。撮影にあたっては親子の絆を大切にし、親自身を撮影することも大切にしている。何故なら子育て中のお母さんは綺麗だから。綺麗で日々成長しているお母さん。子育てに疲れているお母さんが自分らしい抱っことおんぶを身につけることが出来れば子育てはもっと楽しいものになると感じ、「抱っことおんぶの交流会」を開催してきた。

その中で最も心身共に追い詰められる産後間もない時期に心地よく抱っこできるものがないと知った。無いなら自分で作ってみようと思い立った。試作を重ね、お母さんや助産師さんのフィードバックを貰って改良を重ねた。縫製はニット専門工場に依頼した。一度は断られたが、自分で試作して持って行ったところ快く引き受けてくれた。でき上がった抱っこひもはSG規格に準拠した検査を実施している。独自の形象を特許出願準備中である。

抱っこひも本体価格が9千円、補助として使用するロングストールが7千円、2つのセットで1万5千円を予定している。現在、安全に使用するための取り扱い説明書やパッケージ、WEBサイトの準備中で2020年5月頃の発売を目指している。

オシャレでアクティブなママライフは素敵な抱っこから始まる。横浜発の抱っこひも「mico」を日本中のお母さん、お父さんに使って欲しい。更に、世界中のお母さん、お父さんに使ってもらい抱っこ大好きと思って欲しいと願っている。

colobockle 大ヶ谷 有紀子 氏によるプレゼンテーション

一般部門

油ハネせず、油を常に新鮮に保つフライヤー

colobockle:山田 光二 氏
山田 光二 氏
クールフライヤー株式会社

日本でも世界でも好まれている揚げ調理においては、油ハネ、劣化の進行、オイルミストや油煙が課題である。これらの課題は全て同じ原因であったので、一気に解決した新しいフライヤー、クールフライヤーを開発できた。

一般的なフライヤーでは油は数日で劣化して味や匂いが悪くなってしまう。この劣化は何故起こるのか。それは主に炭化した微細な浮遊物が原因である。この炭化した浮遊物を減少させれば油の劣化は少なく、そもそも浮遊物を減少させれば炭化した浮遊物の発生も少ない。

浮遊物を減少させるには沈殿を促進させれば良く、この沈殿を促進する為には水分の気化を抑制することが重要だった。

クールフライヤー株式会社 山田 光二 氏によるプレゼンテーション
クールフライヤー株式会社 山田 光二 氏によるプレゼンテーション

開発したクールフライヤーは油槽を覆う水槽を設けたシンプルな構造。濾過、触媒、薬剤、高周波などは不要である。フライヤー底部の油を水冷することや、ヒーター構造及びその熱量制御によって対流を制御、水分及び微細な固形物の沈殿を促進し劣化を抑制する事に成功。同時に油はね等も解決した。

2019年7月にコンビニ繁栄店を想定した1日10kgの調理を10日間続けた実証実験を実施して油の分析を行い、良い状態のままそれ以上劣化が進まないことを確認した。

このクールフライヤーは油の劣化を防ぐことだけではない。油槽の焦げ付きがなく、濾過器も不要で清掃がし易く、時短による経済性の確保が図れる。輻射熱減少、油ハネによる火傷や火災のリスク低減よる安全・快適性がある。更に、排水系への油の流出が少なく廃棄油の管理も不要である。劣化した油による健康リスクがない。

クールフライヤーを事業展開するに当たり3つの方向を考えている。

1つ目は製品事業であり、業務用フライヤーの販売から家庭用フライヤーへの展開である。家庭用についてはキッチン家電メーカーとの協業を想定している。

2つ目は知財事業であり知財提供による海外への展開である。更に、工業用フライヤーへの展開である。工業用については既に企業からのコンタクトがある。

3つ目はサービス事業で“あつあつジャストインタイム”事業で、スマホで注文し店舗で受け取るサービスである。高温待機しても劣化しにくいクールフライヤーの特長を生かしたサービスである。

クールフライヤーによるイノベーションを通して、おいしさと健康、日本と世界の食文化、SDGsに貢献する。

クールフライヤー株式会社 山田 光二 氏によるプレゼンテーション

一般部門

パパの子育てから、家族に笑顔を

株式会社ワンスレッド:半田 真哉 氏
半田 真哉 氏
株式会社ワンスレッド

長い人生の中で親が子供と過ごす時間は意外と少なく、特に父親が子供と過ごす時間は、総務省統計によると「3年4ヶ月」と、母親の「7年6ヶ月」に比べ少ない。

パパの子育てが家族の笑顔を作り、夫婦のパートナーシップを深め、さらには女性の活動応援、男性の家事育児推進、出生率UPにつながるとの理想から2017年、子育て応援ブランド“papakoso”を立ち上げた。

ここで“papakoso”の二つの製品を紹介する。

株式会社ワンスレッド 半田 真哉 氏によるプレゼンテーション
株式会社ワンスレッド 半田 真哉 氏によるプレゼンテーション

1つ目は男性が使うことを前提に形・色・仕様をデザインした「パパバッグ」である。収納と抱っこ用補助という大きな特長があるが、なにより父親の主体的な育児をサポートし、スーツにも合わせられるデザインになっている。パパが「使いたい」、ママが「パパに使って欲しい」という声を反映した商品である。この「パパバッグ」は平成29年度横浜市のSBIRに認定、さらに2018年にはキッズデザイン賞を受賞した。

2つ目は、パパ専用の抱っこ紐である「papa-dakko」である。男性に人気の高い柄を採用し、日本の男性の体型に合わせたメンズサイズでの展開である。この「papa-dakko」は2019年のキッズデザイン賞で、奨励賞 キッズデザイン協議会会長賞を受賞した。

papakosoの事業は製品企画を自社で行い、指定工場にて生産をする。販売はクラウドファンディングから自社ECでのオンラインショップと、専門店・百貨店での販売を行っている。更に、イベントや交流会を通じてユーザーの声を集め次の企画に反映している。

少子化が進む一方で共働き世帯が増え、子育て負担軽減のニーズが増えていることから、ベビー用品関連市場の市場規模は年々拡大を続けている。一方で、男性用商品、サービスは少なく事業のチャンスがあると見ている。

私たちが目指す社会は夫婦で家事育児を共有することが当たり前の社会であり、男性が家事育児をすることが当たり前の社会である。

個人的な子育てのきっかけは自分の妻の病気によるもので、長男を妊娠中の妻が10万人に1人という病気にかかったことだった。その経験から出産はもちろん、家族と過ごすことは奇跡の連続から生み出されるものであると感じた。

papakosoの事業を通じてたくさんのご家庭に、たくさんの笑顔がひろがるよう、子育てを応援し、家族と過ごす時間を大切にする商品・サービスを生み出していく。

株式会社ワンスレッド 半田 真哉 氏によるプレゼンテーション

一般部門

現代ニーズに合わせた和の加工食品開発

ジャパンエナジーフード合同会社:相澤 和宏 氏
相澤 和宏 氏
ジャパンエナジーフード合同会社

コンビニに入っていつも思っていたこと。それは「本当に食べたいもの」がない。甘くなく、脂っこくなく、添加物を使っていない。さらに、栄養があり、手軽に食べられる、しかも美味しい。そんな食べものがありそうでなかった。そんな食べ物を開発した。

玄米は食物繊維・ミネラルが豊富であると同時に、低GIである。味噌は必須アミノ酸・ビタミン・イソフラボンが豊富にある。かつてこの食材の組み合わせが江戸時代の飛脚・人力車夫の健康を支えた。玄米と味噌の組み合わせは栄養のゴールデンコンビである。日本人は和食でもっと強くなれると信じて、この玄米と味噌を組み合わせたシリアルバーを開発した。甘くなく、和食で添加物不使用である。軽くて腹持ちが良い。さらに、お湯に溶かすとお粥になる。スポーツ・オフィス業務・お子さんのおやつなど様々なシーンに活用できる。栄養補給食としても非常食としても活用できる。

ジャパンエナジーフード合同会社 相澤 和宏 氏によるプレゼンテーション
ジャパンエナジーフード合同会社 相澤 和宏 氏によるプレゼンテーション

このシリアルバーで3種類の味を用意した。「やさしい味噌」、「さっぱり梅かつお」、「しっかりカレー」の3種類である。「さっぱり梅かつお」味は完全なグルテンフリーとなっている。

今後の展開として玄米と味噌を組み合わせたシリアルバーの更なるブラッシュアップを図っていく。用途に応じたタイプに4種類を考えている。すなわち、登山者向けの高カロリータイプ、オフィス向けの小分けタイプ、深夜頑張る人向けのカフェインinタイプ、3年以上の賞味期限を持つ非常食向けロングライフタイプの4種類である。

新製品の開発も手がける。運動中にも摂取可能なアスリート向け栄養補給食として「飛脚メシFAST CHARGE」。抹茶カフェイン入りの「抹茶エネジードリンク」。1食で必要な栄養素が全て採れる「和の完全食」。この「和の完全食」は最も製品化したい商品である。

今後機能志向食品の市場規模は年内に1兆円突破を見込まれている。まずは、月100万円の売り上げを目指す。5年で3億円の売り上げを目標とする。

この事業を通して日本の食文化の新しい時代を切り開く。自分も、作り手も、自然も、みんな元気になる食づくりを達成したい。そうしてジャパンエナジーフードを横浜から世界へ向けた食のクリエイティブカンパニーにする。

ジャパンエナジーフード合同会社 相澤 和宏 氏によるプレゼンテーション

一般部門

次世代のビジネスを急伸する心理学的知能

株式会社Oruche:上田 純也 氏
上田 純也 氏
株式会社Oruche

人々の生活には様々な悩みや不満がある。例えば、教育が子供にあっていなかったり、人間関係や仕事のストレスが挙げられる。この様な不満を解決するために心理学が用いることができる。日本は超ストレス社会で、健康問題を抱えて効率が下がった状態で勤務を続けてしまうプレゼンティズムが企業で問題となっている。企業内ではメンタルチェックシートを利用したり、面談を行っているが、見えない不満や言えないストレスを拾えきれていないのが実情である。この見逃してしまっている不満や感情を我々の技術であるデジタルサイコロジストを使い、「見える化」を行う。更に、脳科学や心理学にもとづく最先端の処方箋を提示する。

具体的には、表情、音声や脈拍といった複数の情報を、組み合わせて入力する。システムでは、驚き、悲しみ、怒り、恐怖などの30種類以上の感情を認識する。この認識により感情の見える化を可能にし、脳科学や心理学の理論をプログラミングし処方箋を導く。

株式会社Oruche 上田 純也 氏によるプレゼンテーション
株式会社Oruche 上田 純也 氏によるプレゼンテーション

個人の感情はプライバシーに関わる重要な情報のためプライバシーを保護する撮像装置および撮像システムの個人情報秘匿の技術を開発した。現在特許申請中である。

海外の競合他社と比較すると、認識できる感情は海外企業の7種に対し30種で高いスペックを持っており、精度ベンチマークでも優位である。利用するデータ量は、既存製品はビックデータを活用しているがこの分野においてはデータ量よりアルゴリズムの工夫が重要であることが研究結果からわかっている。サービス提供方法は、一律同じ機能を提供している既存製品に対し、我々は利用環境に応じたチューニングを行える強みを持っている。

この事業は、横浜国大で基礎研究を行い、文科省COIプロジェクトの研究成果をもとに、当社が開発を担当している。また同プロジェクト参画企業のマネジメントのもとを社会展開する仕組みとなっている。

現在、日本国内の感情分析市場にリーディングカンパニーは存在しない。一方、2024年には現状の約2倍以上の5040億円の市場規模と予想される。当社は、この市場におけるリーディングカンパニーを目指している。

感情分析の技術と、心理学を応用するとヒトは誘導されてしまう。特に、海外企業に日本国内の経済動向を把握され消費をコントロールされる危険性がある。我々は、日本人としての高い倫理観を持ち、利益だけではなく技術の発展に重きをおく大学発ベンチャーだからこそ、この分野においてリードしていく必要があると考えている。

今後の展開としては、3年後に日本市場のリードカンパニーになる。5年後には世界市場に挑戦する。10年後には社会問題を解決する心理知能革命を実現する。

株式会社Oruche 上田 純也 氏によるプレゼンテーション
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