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タイビジネスの「ニューノーマル」適応 Part 2
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海外現地レポート

タイビジネスの「ニューノーマル」適応 Part 2

 タイでの新たな規範「ニューノーマル」が今後どのように形成されていくか、ビジネスを「ニューノーマル」に適合させるために何を考えるべきか。今回は小売業、飲食業における動きを見ていく。

 ロックダウンの段階的解除により、バンコク市内のショッピングセンターに入居する飲食店にも徐々に客の姿が戻ってきた。ここでもタイの「ニューノーマル」が見られる。

 入店した客はまず、机に貼られた2つのQRコードをスマホで読み取る。ひとつはタイ政府が発症者との濃厚接触者追跡のために義務付けをしているアプリ「タイ・チャナ」で、自身が来店したことを登録するため。もうひとつのコードは、店の専用アプリをダウンロードするもので、客はそのアプリから飲み物や料理を注文することになる。

 客同士ならびに従業員と客との接触を極力少なくするため、各社は徹底した感染拡大防止策をとって営業を再開し始めている。スマートフォンでのポイントカードアプリや決済実施など、飲食業におけるデジタル化はこれまでも主にCRM(顧客関係管理)や利便性向上の観点から進んで来たが、小売業、とりわけ飲食店の「ニューノーマル」では、これまで紙で提供していたメニューを顧客自身のデバイスで表示させる等、安全性の観点からさらに進んでいくことになる。新型コロナウィルス感染拡大防止策として導入された新たな「仕組み」は、コロナ禍が収束した後も、消費者の清潔さや安全性に対する意識の変化とともに、新たなスタンダードとして認識されていくであろう。

 「ニューノーマル」の時代において、タイの消費者購買行動はさらにO2OOnline to Offline)にシフトしていくと予測される。飲食店に限らず、実店舗型の小売店は、規模の差はあるにせよ、オンライン(ECサイト、アプリ、SNS、メールマガジン等)とオフライン(実店舗)すべてのチャネルを統合連携させ、オムニチャネルで顧客にアプローチする戦略を意識していく必要がある。

 次号では、BtoBビジネスにおける製造・営業活動、また、在タイ日系企業にとっての拠点運営の視点からの「ニューノーマル」対応について述べる。



横浜ビジネスエキスパート
日本テピア株式会社 石毛寛人
2020年6月


公開日時
2020年6月1日(月)