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タイビジネスの「ニューノーマル」適応
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海外現地レポート

タイビジネスの「ニューノーマル」適応

【タイのロックダウン政策と感染者数】
 2020年5月17日現在、タイの新型コロナウィルス感染者数は累計3,028名、新規感染者数は今月5日以降13日間連続一桁台と、比較的低水準に抑え込んでいる。3月26日の非常事態宣言発令以降、生活必需品販売以外の商業施設閉鎖、4月2日には夜間外出の禁止、同9日からは酒類の販売の禁止と、軍事政権の色が残る現政権によって矢継ぎ早に発令された感染拡大防止に向けた政策が、現在のところ奏功しているものと見られる。
 5月3日に飲食店等の営業規制が一部解除され、17日には大型商業施設の規制も一部解除されたことで、バンコクの街は徐々に活気が戻りつつある。飲食店は客席の間隔を2メートル(パーティションをつける場合は1.5メートル)以上あけ、店内での飲食提供が開始されている。夜間外出禁止令は継続中であり、店内での酒類の提供は未だ禁止されたままだが、スーパーマーケット等小売店での購入は可能となった。

【日本企業への影響】
 他方、タイへの入国制限の緩和に向けた道筋は未だ見えない。現在、タイ政府は国外からの民間旅客機の着陸を原則禁止しており、入国管理上も、有効なリエントリーつきのワークパーミットを所有している本人のみに入国が制限されている。旅客機着陸制限は6月末までの延長が発表されており、タイへの出張渡航や新たな駐在員の赴任も当面難しいであろう。タイに進出する日系製造業のほとんどは生産活動を継続、または一時休止後既に再開しているが、裾野の広い自動車産業では、需要の落ち込みを受け稼働率を抑制している企業も多い。

【「ニューノーマル」に適合したビジネス様式へ】
 新型コロナウィルスの発生により、人々の行動様式は大きく変化しつつある。今後、新型コロナウィルスが収束に向かうとしても、発生前とまったく同じ状況に戻ることはないだろう。各産業のサプライチェーンにも、大きな変化が起きる可能性がある。タイでのビジネスも他国と同様、新たな環境に順応し修正していかなければあっという間に淘汰されてしまう。タイでの新たな規範「ニューノーマル」が今後どのように形成されていくか、ビジネスを「ニューノーマル」に適合させるために何を考えるべきか。次回は、分野を大まかに分け、その方向性を占っていきたい。

横浜ビジネスエキスパート
日本テピア株式会社 石毛寛人
2020年5月


公開日時
2020年5月25日(月)