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創業以来『いつも仕事に対して誠実に』をモットーに、地域の発展と共に歩む今井建設株式会社。

経営改善 建設業
建設業がワーク・ライフ・バランスを実践し、 人材確保につなげる!

~横浜型地域貢献企業の認定取得がきっかけとなった働き方改革への挑戦~
今井建設株式会社

CSR(企業の社会的責任)を取り入れ、顧客の幅が広がる

今井建設の創業は東京オリンピックが開催された昭和39 年、今年で創業60 周年を迎えます。代表の今井新一郎氏は、個人戸建住宅の建築工事を中心に同社の地盤をかためた先代から事業を引き継ぎ、創業50 周年を迎えた頃から、CSRを取り入れた経営を強く意識するようになりました。
きっかけは、IDEC 横浜が実施している横浜型地域貢献企業の認定取得(平成23 年度)。その際、同社の経営理念やビジョンについては、IDEC 横浜の職員や専門家からのアドバイスを受けて見直しを行うとともに、ステークホルダーとそのニーズを分析した上でCSRの方針を定めました。
これによって顧客や取引先の幅も徐々に広がり、現在では、工場や事務所など個人住宅以外の民間工事、学校や道路・下水道整備などの公共工事の受注割合も高くなってきました。
しかし、従業員の高齢化が進むとともに、建設業界の厳しい労働環境のイメージが影響したのか、若手技術者や女性従業員の離職が続きました。

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リモートアクセスが可能となったことで業務の効率化と事務 作業軽減を実現しました。

喫緊の経営課題となった人材の確保と定着に向けて

今井代表は、このままでは5年後の存続自体が危ぶまれると考え、人材確保と定着という難題の解決に向けて一念発起。このときのことを今井代表は「認定の取得によって社内のコミュニケーションが活発になり、経営層や従業員に日々の改善意識が根付いたからこそ、この課題を全社的にとらえることができました」と振り返ります。
さらに、2年ごとに実施する認定更新に際しても、同氏は「IDEC 横浜の職員や専門家に励まされ、参考となるアドバイスを受けながら年々CSR活動を理想に近づけていくことができました」と話します。

目指したのは、働きやすい職場とするための実用性が高い制度をつくること

同社がこの課題解決に向けて掲げたテーマは「働きやすい職場環境」。これまでのような長時間労働や休日出勤が常態化した労働環境では、若手技術者のキャリアアップや仕事と家庭の両立は望めません。従業員それぞれがもつ事情や今後想定される状況をふまえて、働き方の選択肢を広げられる実用性の高い制度づくりを目指しました。
この結果、育児や介護をサポートするためのジョブリターン制度や短時間勤務などの柔軟な勤務形態を整備しました。特に、学校行事などへの参加のために利用できる勤務時間中の短時間「中抜け」制度は、女性従業員からの強い要望があり取り入れました。
また、リモートワークを推進するために、外部からのネットワーク接続環境を整備し、あわせて書類を電子化することで、業務の効率化を図ることができました。
これらの取組について、今井代表は「苦労したことや、困難だったことはありませんでした。働きやすい職場にするためには、従業員にとって何が必要かを考えると、あとは実行に移せば良いだけだったからです」と話します。

ワーク・ライフ・バランスへの取組によって見えてきた成果と、これからの今井建設

同社による取組の成果は着実に形となって現れています。 以前、育児を理由に退職した元女性従業員がジョブリターン制度を活用して復職し、現在は課長職として活躍しています。
また、同社の求人情報に掲載されていたワーク・ライフ・バランスへの取組が、大手ゼネコン出身の求職者の目にとまり即戦力としての採用につながり、取組前は8名だった従業員が10 名となりました。成果は数値にも現れています。取組前と比較し、女性管理職比率では約11%増、平均有給取得率では約10%増となりました。また平均残業時間では約7時間減とそれぞれの指標で改善傾向にあることがわかりました。これら一連の取組は、令和4年度プレミアム企業表彰(他の認定企業の模範となる取組を継続して行っている企業をIDEC 横浜が表彰する制度)を受けました。さらに令和5年度には、本認定制度を含む横浜市で実施する4つの認定・認証を取得したことで横浜グランドスラム企業としても表彰されました。
今井代表は今後の展望について「私たちが目指すのは、会社の“ 拡大” ではなく“ 存続” です。地域社会の一員として無理をしない堅実な経営によって従業員の雇用を守っていきます。そのために、これからも認定・認証制度を活用しながら、だれもが楽しく働くことができ、意欲と能力を発揮できる環境をつくっていきたいと考えています」と話します。
今、建設業をはじめ多くの中小企業が深刻な人手不足や人材確保難に直面しています。しかし、今井建設による取組成果が示すように、CSR経営を実践することがその解決策を見出すことにもつながるのではないでしょうか。

成功のポイント

  • 横浜型地域貢献企業の認定取得時や認定更新時に得られた専門家や職員のアドバイスをCSR活動の改善にいかせた。
  • 従業員の働きやすい職場環境づくりに向けて全社的に取り組み、柔軟に実用性の高い制度を作った。

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