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横浜ビジネスグランプリ2018 横浜ビジネスグランプリ2018
ファイナルステージレポート

横浜ビジネスグランプリ2018 受賞者

最優秀賞
オーディエンス賞

トランクソリューション株式会社
代表取締役社長 山下 知也氏(代理:勝平 純司氏)
https://trunk-sol.co.jp/

プレゼン内容

「トランクソリューションと健康社会への変革」

腰に簡単に装着できる「トランクソリューション」は、体幹を伸展し、骨盤を前傾させ、体内の深いところにあるコアマッスルを鍛えることで、姿勢を美しく保ち、腰痛が軽減できる画期的な装具。 装着すると腹に力が入り、足が前に出やすくなるので、たとえば猫背の高齢者が「トランクソリューション」をつけて歩くと、腹筋が強化され、姿勢が良くなり、歩行を改善することができる。

横浜市内の老人ホームで12名の入居者に、「トランクソリューション」をつけて、1週間に1回、15分の歩行トレーニングを4カ月間にわたり実施したところ、歩行速度が速くなる、杖や歩行器なしで歩行ができるようになる、片麻痺やパーキンソン病にも効果がある、転倒率が軽減するなどの効果があることがわかり、そのエビデンスや実績が10本の学術論文に掲載された。

日本全国には要介護度1および2の人が約400万人いるが、「トランクソリューション」を装着したトレーニングで、そのうち20%の人の歩行が改善したとすると、約4800億円の介護保険料の削減が見込まれる。 医療費を含めると、費用削減効果はさらに高まる。グッドデザイン賞も受賞し国内外特許も取得済み。

2017年9月から、25の病院および介護施設、個人に約200セットを販売。横浜市内の病院でも採用されている。 大手販売代理店とも契約を済ませており、今後の販売増を見込む。 全国に約15万人を数える理学療法士やフィットネス企業とも連携し、病院、介護施設、個人を対象に網羅的に販売を拡大していく。

障がい者から健康な人まで装着できることが「トランクソリューション」の大きな特徴。 東京大学発のベンチャー企業である当社は、知財を活用しながら、スポーツ用「トランクソリューション」の開発や、センサーを内蔵し診断機能を持つタイプ(特許出願済み)の実用化を進めていく。 また、大手企業とタイアップし、社員の方に「トランクソリューション」を使ってもらいながら生産性を高める「腰痛撲滅プロジェクト」も実施する。

質疑応答

量産などで装具の価格は下がっていくのでしょうか?

現在、1セット16万8,000円(税別)で販売していますが、岡山市の総合特区(介護機器貸与モデル事業)で認定を受けたので、1割の自己負担でレンタルが可能になります。 そこでいい結果を出し、全国で介護保険を利用して「トランクソリューション」をレンタルしていただけるようにすることを目標にしています。

「トランクソリューション」をなぜ作ろうと思ったのかを教えて下さい。

私は人間の体をコンピュータで分析するという研究を手がけており、以前、歩行器を押して歩く高齢者の方がなぜ速く歩けるようになるのかを研究しました。 その際、手に力が加わると腹部に力が入り、歩きやすくなることがわかりました。 歩行器では姿勢が前屈みになるなどの欠点もあるので、歩行器を押さなくても腹部に力が入り、歩きやすくなるような装具を作ることはできないかと思ったことがきっかけです。

受賞コメント

最優秀賞とオーディエンス賞のダブル受賞、おめでとうございます。

まったく予想していませんでした。 山下社長の代理として急遽プレゼンすることになりました。 私自身、学会でプレゼンをすることは多いのですが、ビジネスでのプレゼンは経験がなかったので、ビジネスとしての全体的な強みなどを改めて勉強し、ファイナルに臨みました。

どんな点が評価されたと思いますか?

「新規性」「成長性」「実現可能性」「地域経済への影響・効果」「経営者力・熱意」といいう評価基準を網羅するような形でプレゼンを組み立てました。 なかでも地域経済への貢献を重視し、横浜市内で「トランクソリューション」を使っていただける病院も探しました。 その甲斐あって、実際に導入にもつながったのですが、非常に感謝しています。

優秀賞(一般部門)

株式会社スタジオル 代表取締役 山地 瞭氏
http://studi-ol.co.jp/

プレゼン内容

「音楽スタジオWEB予約プラットフォーム『スタジオル』」

日本で楽器演奏を趣味にしている人は人口比約7%で、楽器をやりたいと思っている人は同70%以上といわれている。 このギャップを解消する「楽器演奏の民主化」を同社はミッションに掲げている。

同社が独自に市場調査を行ったところ、楽器演奏を趣味にするうえで最大のネックになっているのが「練習場所の確保」であることがわかった。 楽器の練習場所として最もポピュラーなのは音楽スタジオだが、電話・店頭予約が一般的で、Web予約ができるスタジオは東京都内でも20%程度。 ユーザーには24時間いつでもどこでもできるWeb予約が最も支持されているものの、音楽スタジオには独特で複雑な予約管理運用があり、市場に出回っている予約システムは、限られたスタジオにしか導入できなかった。 また、既存の予約システムはパソコンでの使用が前提になっていて、現代のニーズにそぐわない。

そこで同社は3,000件の音楽スタジオを徹底研究し、多機能ながらもスマートフォンに最適化されたインターフェイスを持つ音楽スタジオWeb予約プラットフォーム「スタジオル」を開発。 2017年11月にサービスを正式に開始した。

ユーザーはスマートフォン、タブレット端末、パソコンに対応したWebアプリ「スタジオル」用い、希望条件(日時、利用時間、最寄り駅等)で空きスタジオを検索できる。 検索結果から好きなスタジオを選び、カレンダー上の希望の日時をなぞるだけの簡単操作で予約が可能。

こうした機能が評価され、既に16店舗(2018年3月上旬現在)の音楽スタジオでの導入が決定。 「電話対応が不要になりコストが削減できた」「営業時間外にも予約を受け付けられるので売上が上がった」「電話でよくある予約内容の聞き違いなどがなくなった」など、導入先の評判も上々だ。

導入費用は1店舗あたり月額9,800円(税抜、11部屋以上は1部屋当たり1,000円を加算)で初期費用は無料。ユーザーは完全無料で利用できる。 音楽教室や楽器販売店からも広告の引き合いを得ている。

山地氏自身、クラシックピアノを始めてから20年、ドラムを始めてから2年が経つが、「楽器は人生を豊かにしてくれる」という。 楽器の演奏環境の情報をテクノロジーで整備し、誰もが気軽に音楽を楽しめる世界を築いていく。

質疑応答

御社の事業の成長ビジョンを教えて下さい。

今年中に300店舗、2年後には1,000店舗に『スタジオル』の導入を目指しています。 音楽スタジオの情報インフラを整えていくなかで、加盟スタジオとユーザーデータベースを活用した関連サービスにも進出し、音楽業界全体の新たな需要創出とともに成長していくことを目指しています。

受賞コメント

一般部門優秀賞を受賞した感想は?

素直に嬉しいの一言です。 『スタジオル』は、私だけで考えた、私だけがほしいと思うサービスではありません。 スタジオユーザー、スタジオ運営関係者の皆さんを始め、音楽に関わる多くの人の思いを代弁して発表させていただいたと思っています。

優秀賞(学生部門)

立教大学 佐藤 朱莉氏

プレゼン内容

「手ぶら観光 ~フッ軽で日本を旅しよう! Fukkal Japan~」

旅行中に、荷物が重くて階段を上れない、通勤時間帯の電車の中でキャリーバッグが場所を取って非常に狭い――。 そんな旅行者の悩みを解消し、訪日観光客が旅行日程のすべてをハンズフリーで過ごせるサービスが「フッ軽」だ。 サービス名は「フットワークが軽い」に由来する。

訪日外国人向けの旅行必需品の貸出サービスで、旅行者から申し込みのあった商品を提携先からリースし、同社で荷造りを行い宿泊先に直接配送。 旅行者は必需品を使用後、宿泊先に返却すればすむ。 必需品は旅行者の移動に合わせてその都度配送されるので、スーツケースなしで旅行が可能だ。

旅行者の滞在スケジュールに見合った必需品を提案できることが大きな特徴。 サービス利用はホームページから行い、マイページから旅行日程や滞在先を入力。 「京都では着物で街歩きをしたい」という希望があれば、それに見合った提案が行われる。

空港宅配サービスなどの「手ぶら」旅行サービスもあるが、旅行者の移動シーンすべてに一括して対応することができないため、「フッ軽」の優位性は高い。

荷物が多いから土産物を持って行くのが面倒だという、購買意欲の低下を防ぎ、滞在中の消費額の増加につながる。 また、移動の負担を減らすことでインバウンドの地方分散を促進し、より柔軟な観光が可能になる。 本事業は日本での旅行を快適なものにし、観光立国推進に貢献することができると考えている。

質疑応答

旅行者は、旅行必需品をどこで受け取れますか?

宿泊先のホテルと連携することによって、ホテルのレセプションで受け取れるようにする、もしくはホテルの協力で、部屋にそのまま荷物を置いてもらうような形が実現できたらいいと思っています。

受賞コメント

受賞の感想を聞かせて下さい。

今日のトップバッターだったので、プレゼンが思うようにうまくいきませんでした。 立ち振る舞いなどをしっかりしたいと思ったのですが、緊張してしまいました。 学内ではよくプレゼンをするのですが、企業の皆さんを前にして発表し、実際に審査されるという経験は初めてです。

ビジネスプランをいつか実現させたいと思っていますか?

思っています。もっとターゲットを絞ったり、細部を詰めていく中で、その先にビジネスプランを実現できるチャンスができればいいですね。

女性起業家賞

株式会社リサ・サーナ 代表取締役 上田暢子氏
https://peer-ring.com/

プレゼン内容

「がんに直面する女性のための ピアサポート・コミュニティ『Peer Ring』」

日本人の2人に1人ががんを経験する中、上田氏は2017年夏に、乳がんや子宮がん、卵巣がんなどの女性特有のがんに直面した人がともにつながり、支え合うためのコミュニティであるSNS「Peer Ring」を立ち上げた。

「Peer(ピア)」は「同じ悩みや辛さを共有する仲間」で、「Ring」は互いに寄り添いサポートする「輪」を意味する。

「Peer Ring」はダイヤリー、Q&A、記事・読み物からなるシンプルな構成。 ダイヤリーやQ&Aを通じて仲間とつながり、情報交換を行う。女性特有のがんを患い、辛い状況に直面した女性にとって、同じ体験をした仲間(Peer)とのコミュニケーションや、病気前と同じようにおしゃれを楽しむためのアピアランス(見た目)のケアは、元気を取り戻し、治療に前向きになるための大きな力になる。

そのことを、上田氏は自らの乳がんの経験から実感した。 そこで女性たちがいつでも、どこからでも仲間とつながり、支え合い、がんについて遠慮なく話せる場所を作ろうと思い、事業をスタートさせた。

登録会員数は2018年2月現在で560人を超えた。 非会員を含む月間ユーザー数は約4,600人。 会員による投稿数は1万2,000件を超えている。 SNSサイト内で活動する「ピアサポーター」が、「Peer Ring」を訪れる女性たちを温かく迎え入れ、寄り添い、共感のコミュニケーションを取っているのが大きな特徴。

会員やユーザーに対しては無料でサービスを提供する一方、スポンサー企業に対して広告、マーケティング等の事業を展開。 マーケティング事業では「Peer Ring」会員に、化粧品や各種のケア製品のモニターになってもらい、がんを経験した女性たちのニーズに触れる機会をスポンサー企業に提供する。

さらに情報発信の担い手として、女性のがん経験者の雇用も生み出していく。

困難を抱えるユーザーと、その課題解決を支える商品・サービスを提供するスポンサー企業をつなぐ情報プラットフォームになることを、「Peer Ring」は目指す。

「がんに直面する想いと経験を共有するもの同士の温かな輪をつなげ広げていく」ことが同社のミッション。 支え合い、絆をつむぐソーシャルネットワーキングサービスになることを目指す。

質疑応答

女性のがん経験者の雇用創出をどう考えていますか?

「Peer Ring」のSNSにはダイアリーやQ&Aのほかに記事を発信している機能があります。 がん経験者の体験に基づく本当に良いケア製品等の紹介や、辛い抗がん剤の副作用を乗り切るコツなどの情報発信に力を入れ、そこで記事のライターやWebデザイナーなどの雇用を生み出していきたいと想います。

受賞コメント

女性起業家賞のご受賞、おめでとうございます。

ここでスタートラインに立ったような感じがします。 皆さんに広く利用され、必要だと思っていただける「生きたSNS」にしていかなければならないと考えています。

海外では、同じ病気を経験している仲間たちが、お互いを支え合うセルフヘルプグループの活動が盛んです。

同じ経験をし、同じ治療を受けている人に「大丈夫だよ、一緒に頑張ろう」と言われるだけで頑張れるのです。 セルフヘルプの力は大きいと思いますね。「Peer Ring」の会員の中にはニュージーランドやアメリカ、韓国などに在住している方もいます。 周りに仲間がいなくても、SNSで毎日仲間と励まし合っているから、「明日の抗がん剤治療も頑張ろう」と思えてくるのです。

一般部門

株式会社古林療育技術研究所 古林 紀哉氏
http://www.kobarite.co.jp/

プレゼン内容

「自閉症児を救う スケジュール表普及への挑戦」

大手シンクタンクに勤務していた古林氏が3年前に起業したのは、古林さんの三男が自閉症であることが検診で明らかになったことがきっかけ。

自閉症は治療方法が確立していないが、自閉症の子どもの発達を促し、自立して生活できるように援助する自閉症療育の手段として、スケジュールと視覚支援が有効だ。

視覚支援は、言葉で伝わらない事柄を絵や写真で伝えること。スケジュール表に、たとえば「トイレ」「朝ご飯」などのイラストや写真で作った「絵カード」を順番に貼り、次に何をすればいいのかを見せてあげると、自閉症の子どもは不安なく行動できるようになる。

だが問題は、「絵カード」は基本的に手作りで、使いやすいものを作ろうとすると非常に手間がかかること。 自閉症の子どもは手先が不器用なので、適当なものを作ってしまうとカードを使えない。

そこで同社はスケジュールと視覚支援を家庭ですぐに始められるように、スケジュールボード、カードフォルダーに加え、10分で作れる「絵カード」を揃えた「コバリテ視覚支援スタートキット」を2年前に商品化。 学校向けにも「コバリテ視覚支援スクールキット」も開発し、横浜市の小学校、特別支援学校等11校に納品済み。 2018年2月には「かわさき基準(KIS)認証福祉製品」にも認証された。

この2年間で家庭向けの「コバリテ視覚支援スタートキット」を500セット販売。 今後は各自治体の教育委員会や厚労省関連にもアプローチを進め、5年後に3万セットの販売を目指す。

質疑応答

ほかに、どんな製品を開発してみたいと思いますか?

自閉症の子どもたちは音に過敏に反応することがあるので、音を遮断する専用の機器を作ってみたいですね。

一般部門

フルールドリス 髙橋 としよ氏
http://fleurdelys.main.jp/wp/

プレゼン内容

「感じる、愛でる、守る!森のケーキ」

髙橋氏が突然思い立ってフラワービジネスを起業したのは4年前。 「すべての人に365日、花を楽しんでほしい」という思いから、アーティフィシャルフラワーと呼ばれる、生花をリアルに表現した造花を扱っている。

横浜・元町の「フルールドリス」店舗での販売とフラワー教室の運営を手がけているほか、法人向けに、お祝い品の提供やオフィス・店舗の装飾などを行っている。

海で拾った流木と造花のアレンジがとても好評だったことから、自然素材と造花の相性の良さに注目していた。 そうした中で、神奈川県産のヒノキ間伐材を使ったアーティフィシャルフラワーアレンジメント「森のケーキ」を商品化。

商品のラインナップは、建材には不向きな小径の間伐材を使用した「カップケーキ型」、輪切り木材をカットして使用した「ショートケーキ型」、年輪の美しさを見せるデザインにこだわった「ロールケーキ型」の3種類。 森林保全とデザイン性の両立をモットーにしているのが特徴で、昨年実施したテストマーケティングでは、クリスマスギフトとして好評を得た。

「フルールドリス」店舗と「アマゾンマーケットプレイス」で今年3月1日に発売を開始し、月に50個の販売を目指す。 神奈川県の産地認証を受けた木材を使用したフラワーアレンジメントの販売は県内初。 結婚式場やイベント企画会社、CSR(企業の社会的責任)活動に積極的に取り組む企業などから引き合いがあり、まとなった数のオーダーがある場合、オリジナルのロゴを入れることも可能。

都内での出店の話もあり、他店舗展開も視野に入れ、フラワー教室の卒業生を制作スタッフとして採用。 造花は作り置きができるため、在宅勤務も可能だ。

日本の森林率は約70%で、先進国の中ではフィンランド、スウェーデンに次いで第3位。 「森のケーキ」が、この貴重な森林資源を有効に活用し、次世代につないでいくために何をしていくべきかを考える1つのきっかけになるように、事業に取り組んでいくという。

質疑応答

無加工の自然素材を扱うという点で、品質の確保についてどう考えていますか?

エアコンのある部屋に置いていると、ひび割れが起きたり樹皮がはがれてくることがあります。 注意書きでもこうしたことが起こることを説明し、「使用上は問題ないので、これも自然の味わいとしてお楽しみ下さい」とご理解を求めています。

一般部門

Witsign株式会社 杜 慶捷氏
https://www.a28.me/

プレゼン内容

「星クーポン ~スマートフォン時代の集客ツール~」

「スマートフォン時代は人脈の時代」と語る杜氏。 「スマートフォンの中に眠っている人脈の価値を解放し、個人のため、友達のため、あるいは世間に貢献するためのサービス」である「星クーポン」を展開している。

「星クーポン」は、広告なしで、顧客みずからが新しい顧客を増やすSNS集客システム。 顧客がSNSで自分の友人や知人に、店舗の情報を拡散して「星クーポン」の「星」をもらう。 一定数以上の拡散を行い、「星」が一定数以上たまると、その顧客がさまざまな特典を利用できるクーポンがもらえる仕組み。

顧客の人脈により、2次、3次等の情報拡散が可能で、詳細なデータがあるため顧客層の分析が可能。 外食、小売店、イベント、ECサイトなどで導入実績がある。代理店も募集中。

サービスを利用したい店舗は、店名・住所などの情報をWebから登録し、特典内容や「星」数などを決め、1,000円をチャージし発行を開始する。 顧客がクーポンを利用した時点で課金される仕組みで、先行投資が少額ですむのため、小規模な店舗でも「星クーポン」を利用した集客が可能だ。

質疑応答

サービスの競合先はありますか?また、ユーザーが店舗の情報を友人や知人に拡散するためのインセンティブにはどんな例がありますか。

今のところ、競合先はまだありません。 インセンティブについては、飲食店なら価格を10%割り引くとかドリンク一杯をサービスする、あるいはプレゼントがもらえるというようにしたり、プロレスイベントの集客の場合、「星」を集めたら大会記念バッジと交換できるようにするなど、柔軟に設定可能です。

一般部門

Kishima Photonics Corporation(設立予定) 木島 公一朗氏

プレゼン内容

「研究者向け細胞選別用レーザー照射装置」

2018年4月1日に起業予定の木島氏は、30年間大手電機メーカーに勤務し、研究開発に携わってきた経験を持つ。 ここ10年間は国内および海外の研究機関との共同研究に数多く関わり、医療機器のニーズ探索と商材提案を行ってきた。

設立予定の新会社「Kishima Photonics Corporation」では、主に研究者や開発者向けの研究機器を製造販売するほか、大手医療機関に特許やノウハウを提供するビジネスを展開。

研究機器の製造販売事業では、主要技術の「イメージガイドレーザーポインティング技術」(観察画像の所定位置にレーザー光を導く技術)に特殊レーザーを組み合わせ、既存技術にはないメリットを研究者に提供する。

カスタマーはIPS細胞(人工多能性幹細胞)を扱う再生医療分野の研究者や免疫細胞を扱うがん・免疫細胞研究者。 いずれも、国が力を入れて研究を支援している有望分野だ。

同社が提供する装置は顕微鏡に取り付けて使用でき、カメラで撮影している画像を見ながら、研究者が自由な位置にレーザーを当て、目的の細胞に照射することが可能。 不要な細胞にレーザーを当たるのを防ぐことができ、かつ機器の占有面積が小さくコンパクトであるという特徴を持つ。 第2弾の製品も準備中。

「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」の一翼を担う横浜市の鶴見区で起業する予定。 年間1、2機種のペースでラインナップを増やし、雇用創出を通じて地域経済にも貢献していく。

質疑応答

機器を、誰にどのようなルートで販売していきますか?

日本再生医療学会の総会などの研究者が集まる場で機器を宣伝し、お客様を見つけていきたいと思います。

学生部門

早稲田大学 浅井 航氏

プレゼン内容

「孫代わりカスタムロボット『ユーボー(YOU-BO)』」

「『孫ロボット』で日本の女性高齢者を元気に」が、浅井氏のスローガン。

日本では、一人暮らしの高齢者の数が増加の一途をたどっている。 高齢化問題について、年金や介護、医療費といった社会的な側面から語られることが多いが、高齢者の多くが孤独を感じているという、心の問題があまり重視されていない。

浅井氏は、日本の高齢者は「子どもや孫といつも一緒にいたい」という割合がアメリカに比べて高く、高齢者の4人に1人が親しい友人がいないといった現実を踏まえ、「高齢者の心をどのように支えるかがますます重要になってくる」と指摘する。

浅井氏はその解決策として「かわいい孫の代わりになるロボットで高齢者の心を支えられないか」と考えた。 ところが市販のコミュニケーションロボットはほぼ量産品で愛着が湧かない。 そこで「あなただけのオーダーメイドロボット」である「ユーボー(YOU-BO)」を着想するに至った。

ひとくちにロボットといっても、5歳ぐらいでやんちゃなパーカー姿の孫ロボットを気に入る人もいる一方、成人式の振り袖姿の孫娘型ロボットがいいという人もいるだろう。 ロボットの「顔や声を孫そっくりにしてほしい」という要望もあるかもしれない。

「高齢者1人ひとりに要望を聞き、好みの顔や姿、声、動きにプラスアルファを加え、世界にたった1つの自分だけのロボットがあったら嬉しいでしょう」と浅井氏はいう。

「孫ロボット」をインターフェイスにして、健康管理やメンタルケア、緊急対応などのさまざまな用途に応用することも視野に入れている。 浅井氏は学生ながらにロボット開発の実績を持ち、現代版茶運びロボット「和っちゃん」をイベントに出典し、テレビでも取り上げられた経験がある。

神奈川県下でロボット開発・製造を支える専門家および、心の分野を支える専門家による支援体制も整えている。 「孫ロボット」で起業し、横浜から世界に発信していくことが目標だ。

質疑応答

高齢者に「孫ロボット」に愛着を持ってもらうためにどんな工夫をしていきますか?

人によってこだわる部分も違うでしょうし、ロボットの見た目がかわいいからといって、日常生活の中で本当に(高齢者に)かわいがってもらえるとは限らないと思うので、一体一体個別にご要望をお聞きして作り上げたいですね。

学生部門

国士舘大学 田中 華依氏

プレゼン内容

「きぬあ亭 ~キヌアを食べて日本と南米を更に元気に!~」

世界遺産の「空中都市」マチュピチュ遺跡やナスカの地上絵などで知られるペルーは、じつは世界の優れた旅行サービスや観光地を厳選した「ワールド・トラベル・アワード」で、「世界で最も美食を楽しめる国」の1位に選出されている食の魅力にあふれる国。

ペルー人の両親を持つ田中氏は、「ペルーの食文化をもっとたくさんの人に知ってほしい」という思いから、南米アンデス地域が原産のスーパーフードとして注目されている雑穀「キヌア」を使ったキヌア料理の専門店「きぬあ亭」のビジネスアイデアを考えた。

キヌアの特徴は、必須アミノ酸やミネラル、タンパク質を豊富に含む栄養価の高さ。 「きぬあ亭」では、全15種類のすべての料理にキヌアを使用し、健康的でおいしいキヌアメニューを提供する。

キヌアにさまざまな種類があることを知ってもらうために、サラダ・スープのメニュー限定で、ホワイトキヌア、レッドキヌア、ブラックキヌアの3色のキヌアを、好みに応じて選べる「チョイスキヌア」というオプションも設ける。

価格設定は、主食・サラダプレートが500円、スープ類が400円、デザートが200円。 売上の5%をペルーのNPO団体に寄付する。 「きぬあ亭」の営業を通じて、キヌアの生産増加による雇用の創出やペルーの知名度向上などにつなぎ、ペルーの経済成長にも貢献していく。

質疑応答

キヌア料理は誰が作り、料理の質をどう管理していくのですか?

(私が)メニューのレシピを提供し、各店舗で調理師の監修のもとで料理を提供していく体制を整えていきたいと考えています。料理のできばえについては、発案者である私がチェックし研修を行っていきたいと思います。