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海外現地レポート

イ-トインスペースから見る、ホーチミン市のコンビニ事情

1、はじめに
 ホーチミン市には、街中のいたるところにコンビニエンスストア(コンビニ)がある。特にイートインスペースが併設されているコンビニが目立つ。そこで、ベトナムのコンビニにおけるイートインスペースについて考察する。
 
2、ベトナムのコンビニ業界
 ベトナムの2014年一人当たりGDPは2053米ドルであり、成長率は+5.98%であった。一方で、ホーチミン市の2014年GDPは5100米ドルと全国平均の2倍以上あり成長率は+9.6%、ハノイは+8.8%だった。実際にホーチミン市にいると、裕福なベトナム人たちを多く目にする。外国人駐在員より可処分所得が多そうな富裕層が少なからずいる印象が強い。今後、ますます大都市の富裕層が増えていくことが予想される。また、ベトナムの小売業界も好調である。小売売上高は2014年まで順調に伸び続け、ここ数年は毎年1兆円規模で成長している。また、2015年1月から4月の小売売上高は、前年同期比+8.8%増の1042兆VND(約5兆8000億円)であった。なかでもコンビニ業界にスポットを当てて記述する。
 ベトナムで生まれたコンビニで大きな地位を占めているものに、SHOP&GOがある。ベトナムの24時間営業のコンビニとしては草分け的な存在で、2005年8月設立、1号店は同年12月にホーチミン市内で開店した。ホーチミン市には103店舗、ハノイには17店舗あり、ベトナム全土に広がっている。
 日系のコンビニも続々とベトナムに進出してきている。例えば、ミニストップ。2011年2月にG7-MS社※とエリアフランチャイズ契約を提携し、同年12月に1号店をオープン。しかし2015年4月に同社との契約を解消し、双日との提携を発表、ミニストップベトナム社が設立された。現在は17店舗展開しているが、小売りとファストフードの要素を融合させた「コンボストア」や100円ショップダイソーの商品を取り扱う等、新体制になり益々の拡大を図っている。また、ファミリーマートも勢力を広げている。ベトナムには2009年に進出したが、2013年には現地企業との提携は解消し、新たにVina FamilyMart Co., Ltd.として設立された。ベトナム国内には67店舗展開している。
 外資系のコンビニとしては、アメリカ外資との合弁で設立されたサークルK(ベトナム国内で78店舗展開し、ホーチミン市内だけで40店舗以上)や、タイ企業が出資するB's mart(96店舗展開)等もある。コンビニはホーチミン市内では特に、1区、3区、7区など、中心地に近いところに増えている。

3、ホーチミン市のコンビニの特徴
 ベトナムでもコンビニは、24時間営業する店舗も少なくなく、人々の生活に便利さや安心を提供している。外国製品が手頃な値段で手に入れられること、スタッフの対応が良いことも、人気の理由となっている。また、日本同様のサービスも取り入れられている。例えば、レジ横のおでんやスチームマシンに入って売られている肉まんや揚げ物等のホットスナックがある。他にも、日本でも人気のコンビニコーヒーが売られている店舗や、ATMが併設されているもの、クレジットカード支払いが可能な店舗もある。相違点としては、イートインスペースが付いている店舗が多いことがあげられる。また、食べ物の注文を受け、出来立てを食べられるサービスを提供している店舗も少なくない。ホーチミン市内のコンビニにおいては、6~7割の店舗にイートインスペースが併設されているようである。2席ほどの小さなものから、P6160184_R.jpg2階部分全体にテーブルと椅子が設置され20席以上もあるものや、カフェのようにソファ席になっている店舗もある。実際にイートインスペースを利用しているのは10代~20代前半の若者が多く、食事をしている人やPCを広げ勉強をしている人も見られる。中には、そのコンビニの制服を着ている店員が食事をしている店舗もあった。店舗の中で静かに食事をしているというより、複数人で集まって思い思いにくつろぐ空間となっているようである。日本で時折見かけるイートインスペースの、時間をかけずに慌てて食事をしている様子とはかなり印象が異なっている。
 イートインスペースが多い理由としては、気候と街の特徴も影響している。外は非常に暑く街はほこりっぽいために、涼しく清潔な店内で休憩するのに適したスペースを提供している。また、ベトナム人の文化も深く関係していると考えられる。一人で食事を取ることを好まないベトナム人にとって、コンビニでの簡単な食事であっても、友人や同僚と一緒に過ごすことができる空間があることは重要である。

4、ハノイのコンビニ事情
 一方で、ハノイでは日系や外資系のコンビニを見かける機会はほとんどない。ホーチミン市には様々な種類のコンビニがあるが、ハノイで多数派を占めているのはローカルのコンビニであるSHOP&GOであり、店舗の数もそれほど多くない。品揃えが決して良いとはいえず、ハノイで暮らす人々にとってコンビニの使い勝手は良くないようである。イートインスペースに関しても併設されていない店舗が多い。ハノイはホーチミン市に比べ、外国からの文化や飲食店の流入が比較的少ない。ハノイの人々はベトナム独自の文化や生活に誇りを持ち、アイデンティティを大切にしているようである。ベトナムの歴史の中で、商業都市として外国文化の影響を受けてきたホーチミン市とは対照的に、ハノイは旧来フランスと中国の影響の中で、新旧の文化が融合し、独自の文化を築いてきた。簡単に外国の文化に迎合せず、独自の文化を守ってきたハノイの人々にとっては、コンビニの便利さよりも、従来の生活や伝統を守る方を重視してきたのである。

5、若者にとってのイートインスペース
 ホーチミン市、ハノイの文化にはそれぞれ特徴はあるが、共通している点の一つにコミュニケーションを大切P6160188_R.jpgにしているということがある。椅子を並べただけのようなカフェに集い飲食し、友人や同僚とおしゃべりを楽しむ。 そういった文化の中で、ホーチミン市ではカフェはコンビニ以上に数が多く、いつも混雑している。同様のスペースを確保するために、コンビニもイートインスペースを作ったのではないかと思われる。
 しかしベトナム人の若者にとって、カフェとコンビニのイートインスペースとは性質が異なっているようである。一般的にカフェは、広くゆったりとし、音楽がかかっていてのんびりくつろげ、花など植物が飾ってあり落ち着く空間となっているという印象だが、コンビニにはそういった要素はあまりない。若者たちの中には、同様に捉えている者もいる。コンビニのイートインスペースは確かに、仲間と楽しい時間を過ごすことが好きだという性質を考慮しているのだろう。だが、ベトナム人の若者たちにとってカフェと同じようには受け入れられていない面もあるようである。実際、次から次へとお客さんが来店し混雑するカフェがいくつもある一方で、イートインスペースが満席になっているコンビニは目にする機会が少ない。

6、おわりに
 イートインスペースが今以上に若者たちを満足させるためには、カフェに求められるような空間作りを意識することが大切なのではないかと考える。リラックスでき長居したいと思うスペースを作ることで、より人々の生活に密着した存在になれるのではないだろうか。イートインスペースの充実はコンビニにとって、売上拡大のための要素の一つとなるに違いない。

※G7-MINISTOP Service & Trading Joint Stock Company。ベトナムにおいてコーヒーの生産、販売、輸出を行っているTrung Nguyen Corporation傘下のG7Service & Trading Joint Stock Companyが、ミニストップのベトナム進出のために設立した子会社。2011年1月設立。

情報提供:株式会社I-GLOCAL 大津英里 氏

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