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中国企業が日本の技術連携先を探す方法とM&Aや事業提携など連携のパターンについて

2000年に制定された『走出去』(海外進出)政策・制度の強い後押しにより、中国の経済モデル転换が一層推進され、中国企業の対外投資は拡大の一途を辿った。本稿は実務の観点から、製造・機械・農業・科学等の技術を中心とする中日提携・M&Aトレンドについて、中国企業と日本の中小ものづくり企業の連携スキーム、中国企業が日本企業をM&Aをおこなう場合のプロセスなどを紹介する。

1.中国企業が提携・M&A先を探す方法と、そのメリット及びデメリット
(1)信頼できる外部機関への委託
外部機関(法律事務所・ファンド・証券会社など)は、顧客ネットワーク、情報及び専門知識を持ち、提携・M&Aに適したターゲット会社を選別、マッチング、商談アレンジなどにより、中国企業側をサポートできるため、中国企業に最も信頼されるルートになる。

(2)展示会等への出展
中国企業が直接日本企業に接触し、お互いに技術・ニーズを把握することができる。ただし、中国企業が日本で行われる展示会を見に行って提携先を探す場合は、日本企業側に信頼されるまでかなりの時間がかかる点と、展示会へ足を運ぶ中国企業の数も少ない点から、提携が実現する成功率は低い。一方、中国で行われる展示会に出展する日本企業は、多くの中国企業と接触でき提携先の選択肢も増える。
例えば2016年11月に開催された、中国(上海)国際工業博覧会に参加した環境保護技術を持つ数十社の日本企業はいずれも多くの商談機会が得られた。

(3)インターネット検索 
自らインターネットで必要な技術を持つ日本企業を探す中国企業も少なくない。提携意欲がある日本企業を中国へ招き、相手の技術に合致するかをチェックする。この方法では中国企業がすべての費用を負担する高コストの為、短期間に成功できなければ諦めることが多い。

(4)フォーラムへの参加
フォーラムはテーマが明確であり、主催側を通じて企業間の連絡もしやすいため、提携の成功率が高い。しかし、中国で行う国際フォーラムは少ないため、機会は少ない。

2.提携形式とその例
(1)商業代理店 
日本企業(以下:委託者)が中国の代理店と代理契約を結び、代理店が代理権を取得後に、委託者の名義で委託者の指示を受けて商業行為を行う。代理店は委託者に対して、利益、守秘義務、忠義義務、善良なる管理者の注意義務など義務付けられている。
(例)唐山松下産業機器有限会社は中国での130社の代理店を委託し、上海・広州・寧波・唐山・重慶・アモイなどの都市で溶接機器の設備を販売する。

(2)合弁設立 
中国企業と日本企業が各自資金・技術・マーケティングの特長を融合させ、相手の生産能力を高め、消費市場を開拓する。
(例)2009年、珠海格力電器公司はダイキン工業とグローバル戦略提携を結び、合弁会社珠海格力大金精密模具有限公司を設立し、共同調達・共同購買・共同開発などを協業し生産性を高めた。

(3)企業の合併・買収 
2015年から中国対外投資の規模は世界第2位になり、中国企業によるクロスボーダーM&Aは海外直接投資の主要な手段となっている。

3.投資者のタイプにより異なる投資先企業
買収候補の選択に関しては、投資者タイプと買収の目的により異なっている。
(1)金融型投資者 
このタイプの投資者は一般に1〜3年でのリターン最大化が目的となる。投資先企業(以下、目的企業)の営業利益水準と財務レバレッジを重視し、幅広く選択できる。ベンチャー企業や、儲かる業界の企業が全てターゲットになる。

(2)産業型投資者 
戦略型投資者とも言う。このタイプの投資者は企業の経営戦略・配置から着眼し、企業発展におけるスピードアップを実現することと協働することで得られる効果を重視する。中国産業型投資者の規模はそれぞれだが、投資先として2つの要素を重視する。一つ目は、目的企業の技術、仕入先、顧客基盤、販売ルート、業界における許可書などにより選択し、それにあてはまる相手がターゲットになる。二つ目として、中国企業は自身の投資特長を中国政府の経済政策と結びつけ、目的企業の技術類型と範囲を選ぶ。
だだし、経済転換期の中国企業は急ぎがちで、日本企業が買収される気がなければ、商談がかなり難しいという印象が強いため、買収される意欲がある企業が好ましく思われる。このように候補先をリストアップした上で(1)過去の財務データ(2)既存の技術力とその開発力技術(3)株式保有構造(4)管理職層・研究開発チーム体制(5)市場占有率などの要素により絞り込み、ピックアップしていく。
(例)鴻海によるシャープ買収
(例)中国中小運輸会社が日本の従業員三人、資本金1000万、設立して一年未満の旅行業会社(運輸許可書あり)を買収
(例)中国上場企業が従業員5人で売り上げ減少傾向の技術型会社を買収


4.M&A手法(目的企業の株式を取得による方法)
一定割合以上の株式取得により、保有する株式の割合に応じた議決権を手に入れられる。
株式の取得方法は次の4つがある。
(1)株式譲渡 目的企業の発行済み株式を譲り受ける
(2)新株発行 目的企業の発行した新株を買収
(3)合併 中国企業が目的企業に包括的に吸収される
(4)株式交換 株式の交換によって中国企業が目的企業の子会社になる。

上記のうち、(1)の株式譲渡は中国企業と目的企業の株主の合意により結んだ株式譲渡契約の内容に基づき株券と対価を得る。
(2)の新株発行は目的企業が新株を発行するので、一定割合以上の株主の賛成が必要である。
(例)2006年尚徳が1.07億米ドルでMSK株式会社が新発行した株式・発行済み株式を譲受。
理論上は、(3)の合併、(4)の株式交換の手法でも可能であるが、中国ではクロスボーターM&Aに対する法律は明確に定められていないため、実務では難しい。

5.M&A手法(事業譲渡による方法)
商法で言う営業譲渡であり、目的企業の資産・負債・人材等を中国企業が買収する方法である。
(例)ハイアールによる三洋電機集団の買収
(例)美的集団による東芝の白物家電事業の買収。

6.M&Aの基本プロセス 
昨今最も使われる手法である株式取得によるM&Aに関するプロセスを簡単に紹介する。
(1)意向書の締結 
目的企業を決めた後、中国企業が日本企業(あるいは譲渡を希望する株主)と意向書を結び、双方の共通認識を明確にしておき、日本企業からのでデューデリジェンス協力を約束する。
中国企業は通常、買収の前提条件、誠実交渉義務(日本企業の表明保証)、中国企業の独占交渉権、M&Aのスケジュールなどを合意契約に規定する。


(2)秘密保持契約の締結 
交渉段階に得る相手のデータ・情報が第三者に開示または漏洩を避けるために秘密保持契約を結ぶ。通常、開示情報の範囲や内容、取扱い、損害賠償、対象期間などを契約に規定する。


(3)デューデリジェンス 
合弁買収する前に中国企業は日本企業が目的企業としての適切性・合弁買収の方式を決定するために日本企業の設立・変遷・出資者と出資情報・産業・商売・資産・債務・労働・財税・環境保護などの情報に関するデューデリジェンスを行う。このうち、法律・財務についてのデューデリジェンスは法律事務所・会計事務所に通じて行うことが一般的である。

(4)買収契約書の締結 
デューデリジェンスを完成した後、中国企業が報告によって目的企業を確定し、目的企業の株主と株式譲渡契約あるいは目的企業と増資契約を結ぶ。

(5)クロージング 
株式譲渡の場合は、株券の引渡とその対価の支払、役員の改選等を行い、経営権の移転を完了させる最終的な手続になる。
 
製造業は永遠に強化・促進すべき基礎産業であり、日中企業の提携により、企業価値の最大化と共に発展していくことを祈る。


(2017年3月)
情報提供: 京衡弁護士事務所 

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