新型コロナウイルスと医工連携

横浜医工連携推進コーディネーター
森尾 康二

2020年6月25日(木)

新型コロナウイルスが発生して間もなく半年近くになる。当初はこれほどの大事になるとは思わずに新種のインフルエンザのようなものだろうと高をくくっていた節がある。日が経つにつれてこのウイルスの狡猾さ(無症状者・軽症者が8割を超えているにも関わらず病態が急変して死亡するに至る)に対してPCRをはじめとする検査体制の不備、未開発の治療薬・ワクチンのせいで世界中を大混乱に陥れた。主要国においては第一波を経験した成果としてこのウイルスの正体が徐々に明らかになってきて、新しい治療薬・ワクチンの開発スケジュールが明らかになってきている。

翻って医工連携の立場から今回の新型コロナ騒動を振り返ってみると、大混乱の中で内外の企業が見せてきた功罪が浮かび上がってくる。前号の木下綾子さんのコラム(Vol.46) でも指摘されている様にマスク不足・防護具不足に直面して、多くの企業がこれらの調達、生産に勤しんできた。非常事態のさなか不足する医療品の製造に名乗りを上げるのは素晴らしい事かも知れないが、永続的なビジネスの範囲で行われなければならない。比較的に参入が容易である医療品に比べて、参入が困難と云われる医療機器の世界でも異業種からの参入が相次いでいる。その代表例が人工呼吸器である。日本の人工呼吸器市場は外国勢で占拠されているというが、数少ない日本勢としてアコマ医科工業、日本光電工業、メトランがある。自動車メーカー、自動車部品メーカーを筆頭に多くの業種の参入が相次でいるがこの多くは人工呼吸器用の部品供給に留まっていて、薬機法上で製造販売業の資格を取ってまで完成品を製造販売するという企業は皆無である。

新型コロナ騒動で注目されているのが治療薬の開発とワクチンの開発である。但しこれらの開発医工連携活動の枠の外の話しであって、内外の主要製薬メーカー・製薬ベンチャーがこれらの開発にしのぎを削っている。

この騒動の最中とはいえ我々は地道に価値を求めてゆきたい。こうした事例を下記します。

  1. 各種検査装置(PCR検査装置、抗体検査装置、抗原検査装置)
  2. 感染性医療廃棄物処理装置:病院内で使い捨てられる感染性防護具の焼却装置
  3. ICU入院患者の重症化モニター
  4. 対コロナ表面皮膜ワイプコーティング
(「ワクワク感がイノベーションの源」by 森尾)

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